2011年3月11日からの飯舘村

朝日新聞Web版記事抜粋

  1. 各地の震度
    2011年3月11日15時15分
    気象庁によると、各地の震度は次の通り。
    【震度6弱】飯舘村

  2. 原発30キロ圏内、福島・川内村が「全村避難」
    2011年3月17日3時0分
    県によると、20〜30キロ圏内の住民と避難所にいる人は計約14万1千人。川内村のほか、飯舘村と南相馬市も住民の圏外への避難を求めているという。

  3. 福島第一の周辺自治体、放射線高レベル続く
    2011年3月18日12時37分
     福島県内の1時間あたりの観測値は、午前11時現在、飯舘村で20.5マイクロシーベルト、福島市で11.00マイクロシーベルトを記録。
    ■九州大学アイソトープ総合センターの百島則幸教授(環境放射能)の話 一部で高い値が続いているのは、二つの理由が考えられる。(1)放射線が広範囲に広がった(2)地面に落ちた粒子からの放出が続いている。ただ、毎時20マイクロシーベルトは、100日程度では業務従事者が年間に許される50ミリシーベルトを超えない。体への影響は少ないと考えられる。

  4. 福島や茨城、通常より高い放射線量 値は前日とほぼ同じ
    2011年3月19日10時49分
     東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、福島県や茨城県など周辺の自治体では、19日午前も、通常より高い放射線量の値が続いている。地表に落ちた放射性物質が、放射線を出し続けているためとみられる。値はほぼ前日と変わらず、今後も推移を見守る必要がある。
     福島県内の1時間あたりの観測値は午前9時現在、飯舘村で19.40マイクロシーベルト、福島市で9.80マイクロシーベルト、南相馬市で2.99マイクロシーベルトを記録した。
     福島に隣接する北関東の値は、茨城県北茨城市が0.956マイクロシーベルト、栃木県那須町が0.91マイクロシーベルトなど。付近の平常時の上限値である毎時0.05〜0.06マイクロシーベルトを上回るが、前日までに比べ下がる傾向にある。
     一般の人の年間被曝(ひばく)限度量は年間1千マイクロシーベルトで、飯舘村に2日間以上いると、この値を超えかねない。しかし、すぐ健康に被害は出ないとされる。

  5. 県外への避難者すでに2万1千人 北海道や沖縄にも
    2011年3月20日1時19分
     福島県によると、福島第一原発の20〜30キロ圏内の屋内退避区域では、南相馬市と飯舘村の住民が県外避難を始めている。

  6. 栃木ホウレンソウも放射性物質 畜農産物では3県目被害
    2011年3月20日21時51分
     東京電力福島第一原発の事故の影響で20日、栃木県からも放射性物質に汚染されたホウレンソウが見つかり、食品衛生法の暫定規制値を超える農産物が検出された自治体は福島、茨城に続いて3県に広がった。福島県内の加工前の牛乳からは規制値の17倍を超えるヨウ素が検出された。政府は一定地域の食品の摂取制限や出荷停止が必要かどうか21日に結論を出す方針。
     枝野幸男官房長官は記者会見で「ただちに健康に影響を及ぼすとは考えられない」と強調。「どういう範囲で規制するかは広範囲でのモニタリング調査の結果を踏まえて検討したい」と話した。厚生労働省は規制値を超える食品の人体への影響を調べるよう食品安全委員会に諮問した。
     栃木県では19日に採った4市町のホウレンソウ7検体で規制値を超えるヨウ素、5検体でセシウムが出た。最も高い壬生町でのヨウ素の値は規制値の約3倍。かき菜1検体からは規制値と同じ値のヨウ素が検出された。県は農業団体にホウレンソウとかき菜の出荷自粛、出荷分の自主回収を要請した。牛乳からは放射性物質は検出されなかった。
     福島県の農場で19日に採れた牛乳を分析したところ、福島第一原発から約40キロ離れた飯舘村では、約1リットルからヨウ素が5200ベクレル(規制値の約17倍)、セシウムが420ベクレル(同約2倍)検出された。規制値を超えた農場の牛乳は市場に出回っていないという。県は安全性が確認されるまで県内全ての牛乳の出荷自粛を酪農家に要請する。
     この値の牛乳を約1リットル飲んだとすると、人の体への影響は約120マイクロシーベルト程度。人が1年間に浴びてもいい放射線限度量は1千マイクロシーベルトだ。
     また厚労省のまとめでは、茨城県内の8市で18〜19日に採れた、ハウス栽培を含むホウレンソウから、規制値を超えるヨウ素やセシウムが検出された。最も高い日立市では、規制値の約27倍のヨウ素、約4倍のセシウムが出た。高萩市ではハウス栽培のホウレンソウからも規制値を超えるヨウ素とセシウムが検出された。
     茨城県によると、県内産の野菜12品目のうち、ホウレンソウ以外のトマト、イチゴ、キュウリ、ニラ、水菜、チンゲンサイ、レンコン、キャベツ、ネギ、ピーマン、レタスは規制値を下回った。新潟県内産ホウレンソウなどからも規制値を超える放射性物質は検出されなかった。

  7. 水道水から基準値3倍超す放射性ヨウ素 福島・飯舘村
    2011年3月21日2時31分
     厚生労働省は21日、福島県飯舘村の簡易水道水から、規制値の3倍を超える1キロあたり965ベクレルの放射性ヨウ素を検出した、と発表した。この検査結果を受け、水道水を使う住民に飲用を控えるよう住民に広報することを求めた。同村は21日朝から村内に給水車を出す。同村は、福島第一原発から約30キロ付近で、一部は屋内退避区域に入っている。
     同省によると、検出されたのは、同村の簡易水道水。ヨウ素の飲料水の摂取制限の規制値は1キロあたり300ベクレル。厚労省の担当者は「一時的な飲用であれば直ちに健康には影響しない」と話している。

  8. 枝野官房長官の会見〈21日午後6時〉
    2011年3月21日23時36分
     水道については昨日、福島県飯舘村の水道水から飲食の摂取制限に関する指標値を超える放射性ヨウ素が検出されたが、これは厚生労働省の通知に基づき、飯舘村が住民に対して水道水の飲料を控えるよう要請しているとの報告を受けている。こちらについても同様の規制値に基づいたものであり、現在、報告をされている検出の放射線量によれば、直接にただちに健康に害を与えるものではありませんが、念のため水道水は飲料をひかえること、ただし生活用水としての利用には問題がなく、代替となる飲用水がない場合には飲用しても健康に問題がないということを指示し、これに基づいて住民に対して飲用をひかえるよう飯舘村のほうで措置をして頂いております。

  9. 水道水から乳児の規制値超す放射性物質 福島の5市町
    2011年3月22日22時50分
     厚生労働省は22日、福島県の5市町の水道水から乳児への規制値を超える放射性ヨウ素が検出されたと発表した。1キロあたり100ベクレルという乳児の規制値を超えた伊達、郡山、田村、南相馬、川俣の各市町に対し、住民が水道水を乳児に直接飲ませたり、粉ミルクに使ったりしないよう注意を呼びかけた。規制値の1.2〜2.2倍だった。
     田村市では17、18日に一般の規制値300ベクレルを超えたが、19日は下回った。20日に規制値の3倍を超えた飯舘村は21日も規制値を超えた。
     規制値を超えたヨウ素検出を受け、福島県は、5市町が管内の乳児約530人を対象にペットボトル入りの飲料水などの配布を始めたと発表した。

  10. 首相、摂取制限を指示 福島産ホウレンソウなど12品目
    2011年3月23日13時53分
     これに先立ち、厚労省は同日未明、福島県周辺の野菜や原乳などに対する緊急時モニタリング検査の結果を公表。最も高い値が検出されたのは福島第一原発から約60キロ離れた福島県本宮市の茎立菜(くきたちな)で、規制値の164倍にあたる1キログラムあたり8万2千ベクレルの放射性セシウムが検出された。このほか、田村市のホウレンソウが80倍、川俣町の信夫冬菜(しのぶふゆな)が56倍、西郷村の山東(さんとう)菜で48倍、飯舘村のブロッコリーで27.8倍など計25サンプルで放射性セシウムの規制値を超えた。

  11. 雨とともに降下? 放射線量、東日本は高めのまま
    2011年3月23日10時45分
     福島県内では23日午前8時現在、福島市で1時間あたりに5.90マイクロシーベルト(シーベルトは人間が放射線を浴びた時の影響度を示す単位)、いわき市で1.73マイクロシーベルトなど。前日同時刻の6.44マイクロシーベルト、2.24マイクロシーベルトより、それぞれ少し下がった。ただし、県内の平常時の上限は0.07マイクロシーベルト程度。飯舘村で13.60マイクロシーベルトを計測したように、まだ地域によってはかなり高い状態だ。

  12. 原発から40キロの土壌、高濃度セシウム 半減期30年
    2011年3月23日12時22分
     文部科学省は23日、福島第一原発から約40キロ離れた福島県飯舘村の土壌から、高濃度のセシウム137が検出されたと発表した。単純比較はできないが、国が定めた放射線管理区域の基準値の4倍に相当する。半減期が8日と短い、放射性ヨウ素の値も、約30倍の値だった。今後、土壌の入れ替えが必要になる可能性も出てきた。
     同省によると、20日午後0時40分に飯舘村で採った土1キロあたりから、セシウムが16万3千ベクレル、ヨウ素が117万ベクレル検出された。19日午前11時40分に同じ場所から採った土と比べ、セシウムで約6倍、ヨウ素で約4倍高くなった。
     このほか、約45キロ離れた川俣町で19日に採った土からセシウム8690ベクレル、ヨウ素8万5400ベクレル、約25キロ離れた南相馬市でもセシウム4040ベクレル、ヨウ素3万5800ベクレルを検出した。
     ヨウ素の半減期は8日間と短いが、セシウム137は約30年間にわたる。長期間、土壌が汚染されることにより、人体や農作物などに影響が出る可能性がある。
     放射線管理区域の基準値は1平方メートルあたり4万ベクレル。
     原子力安全・保安院は23日未明の記者会見で、福島県内の高濃度に汚染された野菜が見つかったことに関連して、「セシウムは半減期が長く、場合によっては土壌を入れ替える作業も必要になるかもしれない」と発言した。

  13. 届かぬ食材、閉まる店…福島・南相馬、深刻な食料不足
    2011年3月23日20時1分
     一部が屋内退避圏にかかる福島県飯舘村。人口6100人の村には今、ほぼ半数の3200人しか残っていない。
     村内では原発事故以降、大気中や栽培するブロッコリーから高めの放射線量や高濃度の放射性物質を検出。23日には、文部科学省が村内の土壌からも高濃度の放射性物質・セシウムを検出したと発表した。
     菅野典雄村長は訴える。「なぜこうなったのか、村はどうすればいいのか。国から全く示されず困っている」
     村内で不安が高まったのは18日。大気中の放射線量がテレビなどで放送され、時には原発により近い地域よりも高い数値を示した。住民から不安を訴える声が相次いだ。
     「どうして今まで隠していたのか」「早く村の外に逃げたい」……。村の幹部会はこの日、「大規模な避難もやむを得ない」として希望者が離村する際の支援策を決めた。
     希望する村民と避難指示地域などから村内に退避していた人ら計314人が19日、バスで栃木県鹿沼市に到着。20日にも195人が同市へ逃れた。マイカーで避難する住民にも、20リットル分のガソリンを優先的に給油できるチケットを配布。村に4カ所あった避難所はすべて閉鎖した。
     村から鹿沼市に避難した高橋薫さん(40)の一家は、家族8人のうち夫ら3人が村に残る。「家は井戸水だから震災後も苦労はしなかった。でも、夫に『子どもにこれからどんな症状が出るか分からないから』と言われて出た。いつ帰れるんだろう。残してきた家族が心配です」

  14. 30キロ圏外の一部、内部被曝の可能性 極端な例で試算
    2011年3月23日23時34分
     原子力安全委員会は23日、福島第一原子力発電所の被災に伴う住民の被曝(ひばく)量や放射性物質が降る範囲を、SPEEDI(スピーディ)(緊急時迅速放射能影響予測)システムで試算、結果を初めて公表した。原発から北西と南の方向に放射性ヨウ素が飛散し、最も影響を受けるケースだと、30キロ圏外でも12日間で100ミリシーベルトを上回る甲状腺の内部被曝を起こす可能性がある、との結果が出ていた。
     委員会は、原発の被災後、12日午前6時から24日午前0時までずっと屋外で過ごしたという最も厳しい条件で、各地のモニタリングのデータなどを元にヨウ素の放出量を仮定、ヨウ素の影響をもっとも受ける1歳児の甲状腺の内部被曝量を試算した。
     試算によると、一日中外にいた場合、内部被曝が12日間で100ミリシーベルトに達する可能性がある地域には、原発の北西にある福島県南相馬市や飯舘村、川俣町のほか、南に位置するいわき市などの一部が含まれていた。100ミリシーベルトは、安定ヨウ素剤を飲むかどうかの判断の一つ、という。ただ、屋内にいた場合は、この4分の1から10分の1程度に減るという。
     班目(まだらめ)春樹委員長らは「非常に厳しい条件を想定した。ただちに対策を取る必要はない」と話した。
     SPEEDIは、原発の位置や放出された放射性物質の種類や量などから気象データを踏まえて計算する。安全委は16日から試算用に情報を収集し、研究者から早く結果を公表すべきだという声が上がっていた。
     安全委員会の会見が23日が初めてとなったことについて班目委員長は「安全委として会見するかどうかは議論したが、同じ内閣府ということで枝野長官への助言という黒衣役に徹していた」と述べた。
     米国やフランス、オーストリアなど海外機関は、事故の直後から独自に放射能拡散予測をインターネットで公開している。

  15. 福島・首都圏、放射線量下がる傾向に
    2011年3月24日10時12分
     東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、東日本の自治体は24日午前現在も、通常より高い放射線量を記録している。ただ福島県内でも首都圏でも、前日に比べ下がる傾向にある。各地の観測点のデータは健康にただちに被害が出る値ではないが、引き続き監視する必要がある。
     福島県内では24日午前8時現在、飯舘村で1時間あたり12.40(前日は13.60)マイクロシーベルト、福島市で5.21(同5.90)マイクロシーベルト、いわき市で1.51(同1.73)マイクロシーベルトなど。前日と同じ南会津町をのぞき、前日よりやや下がった。福島県内の平常時の上限は、0.07マイクロシーベルト程度。
     隣接する茨城県や、首都圏も前日に比べやや下がった。茨城県北茨城市で1.290(同1.44)マイクロシーベルト、ひたちなか市で0.902(同0.968)マイクロシーベルト、東京都新宿区で0.139(同0.146)マイクロシーベルト、さいたま市で0.118(同0.124)マイクロシーベルトだった。

  16. 原発の北西30キロ内、高い放射線量 米が空から測定
    2011年3月24日12時15分
     【ニューヨーク=勝田敏彦】米エネルギー省(DOE)は22日、福島第一原子力発電所の周辺上空を飛ぶ米軍機などが測定した放射線量や地上のデータから、被災地域の地上の人が1時間あたりに浴びる放射線量を推定した結果を公表した。原発から北西方向に線量が高い長さ30キロほどの「帯」が広がっていることがわかる。
     空中測定は17〜19日に行われた。推定結果にある毎時125マイクロシーベルトを超える放射線量の帯は、地元自治体の観測でも高い放射線量が観測されている福島県の浪江町や飯舘村付近を通っている。
     DOEは「調査した全域で毎時300マイクロシーベルトを超えておらず、放射線レベルは低い」としつつも、高い線量の帯の中では8時間ほどで、一般市民が年間で浴びる人工放射線の線量限度1ミリシーベルト(1ミリは1千マイクロ)を超える計算になる。
     DOEは推定結果を随時更新し、ウェブサイト(energy.gov/japan2011)で公表する。

  17. 雑草からも高濃度セシウム 福島・汚染土壌の近く
    2011年3月24日13時5分
     文部科学省は24日、雑草や海水などの放射能汚染の測定結果を発表した。前日までに福島県飯舘村の土1キロからセシウム137が16万3千ベクレル(放射能の単位)が検出されたが、近くの雑草の葉から、約8倍の値にあたる124万ベクレルが検出された。
     雑草は福島第一原発から北西約40キロ地点で、21日昼ごろ採取した。同省によると、試料の採取法や採取場所が違うと風向や地形によって数値に差が出るという。同省は「土や雑草の濃度基準はないが、農作物への影響など分からない点もあり、今後の推移を監視していく」という。
     原発から沖合約30キロの海水調査では、8カ所中3カ所でヨウ素が基準値を超えた。最高値は基準の1.9倍の76.8ベクレル。原子力安全・保安院は原発の放水口南側約330メートル付近の海水から、基準の147倍にあたる濃度のヨウ素が出たと発表した。いずれも海水は23日に採取された。

  18. 福島第一原発事故、スリーマイル超えレベル6相当に
    2011年3月25日3時0分
     東京電力福島第一原発の事故は、放出された放射能の推定量からみて、国際評価尺度で大事故にあたる「レベル6」に相当することがわかった。すでに米スリーマイル島原発事故(レベル5)を上回る規模になった。局地的には、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故に匹敵する土壌汚染も見つかっている。放出は今も続き、周辺の土地が長期間使えなくなる恐れがある。
     原子力安全委員会は、SPEEDI(スピーディ)(緊急時迅速放射能影響予測)システムで放射能の広がりを計算するため、各地での放射線測定値をもとに、同原発からの1時間あたりの放射性ヨウ素の放出率を推定した。事故発生直後の12日午前6時から24日午前0時までの放出量を単純計算すると、3万〜11万テラベクレル(テラは1兆倍)になる。
     国際原子力事象評価尺度(INES)は、1986年のチェルノブイリ原発事故のような最悪の「レベル7=深刻な事故」を数万テラベクレル以上の放出と定義する。実際の放出量は約180万テラベクレルだったとされる。今回は少なくともそれに次ぐ「レベル6」(数千〜数万テラベクレル)に相当する。
     経済産業省原子力安全・保安院は18日、福島第一原発の1〜3号機の暫定評価を「レベル5」と発表したが、今後放出量の見積もりが進めば、再検討される可能性が高い。
     土壌の汚染は、局地的には、チェルノブイリ事故と同レベルの場所がある。
     原発から北西に約40キロ離れた福島県飯舘村では20日、土壌1キログラムあたり16万3千ベクレルのセシウム137が出た。県内で最も高いレベルだ。京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子力工学)によると、1平方メートルあたりに換算して326万ベクレルになるという。
     チェルノブイリ事故では、1平方メートルあたり55万ベクレル以上のセシウムが検出された地域は強制移住の対象となった。チェルノブイリで強制移住の対象となった地域の約6倍の汚染度になる計算だ。今中さんは「飯舘村は避難が必要な汚染レベル。チェルノブイリの放射能放出は事故から10日ほどでおさまったが、福島第一原発では放射能が出続けており、汚染度の高い地域はチェルノブイリ級と言っていいだろう」と指摘した。
     金沢大の山本政儀教授(環境放射能学)によると、1メートル四方深さ5センチで、土壌の密度を1.5程度と仮定すると、飯舘村の1平方メートルあたりのセシウム濃度は約1200万ベクレルに上る。チェルノブイリの約20倍。「直ちに避難するレベルではないが、セシウムは半減期が30年と長い。その場に長年住み続けることを考えると、土壌の入れ替えも必要ではないか」と話した。
     健康への影響はどうか。チェルノブイリ原発事故では、強制移住の地域では平均50ミリシーベルト程度の放射線を浴びたとされる。しかし汚染地での長期の住民健康調査では、成人では白血病などの発症率は増えていない。
     甲状腺がんは増えたが、事故当時小児だった住民が放射性ヨウ素で汚染された牛乳などを飲んで内部被曝(ひばく)したためとみられている。飯舘村の24日午後までの放射線の総量は、3.7ミリシーベルトだ。
     長瀧重信・長崎大名誉教授(被曝医療)は「チェルノブイリ原発事故後でも小児甲状腺がん以外の健康障害は認められず、すぐに健康を害するとは考えにくい。高い汚染が見つかった地域では、データをもとに住民と十分に話し合って対応を考えてほしい」と話している。

  19. モモ、キュウリ…福島の特産品どうなる 作付け延期要請
    2011年3月26日14時11分
     福島第一原発の事故を受け、福島県が25日に県内の農家に出した農作業延期の要請。稲やブロッコリーなどの作付け時期は間近なのに、種まきや田植えに手がつけられない。桃やキュウリ、米などで名高い農業大国。延期が長引けば全国の食卓に影響が及ぶ。
     福島市の東側に位置する飯舘村。1800世帯のほとんどが米や葉タバコ、野菜農家だ。
     同村蕨平で5頭の肉牛飼育や稲作などをする男性(76)は、放射線の被害を恐れて避難していた埼玉県の娘宅から23日に戻った。例年なら種もみの発芽作業にかかる時期。そこに延期の要請が届いた。
     「せっかく作っても『人の健康を害する作物』と言われてしまう」。男性はやるせない思いを語る。「農業ができなければ稼ぎもない。国には補償策を考えてほしい」

  20. 「補償は」「牛見捨てられぬ」自主避難要請、揺れる住民
    2011年3月26日20時31分
     「うちのベコの様子も教えてもらえるとありがてえ」。飯舘村蕨平に住む菅野千代子さん(69)は25日夕、避難所に残る村の人たちに見送られながら車で夫と2人、栃木県鹿沼市から自宅に戻った。
     菅野さん宅は屋内退避圏内。19日に一度は300人で避難所に移動した。三度の食事が用意され、シャワーもある。だが、唯一の心配は、残してきた6頭の牛だった。眠れない日々が続いた。
     自宅に着いたのは約4時間後。政府の自主避難の要請は知っているが、「これまで一緒に生きてきたんだもの。この子たちを見捨てるわけにはいかねえ」。戻ってすぐ、いない間に生まれた子牛の世話をし、エサをあげた。「とりあえずは帰れてよかった」(下地毅、岩崎賢一、川口敦子)

  21. 耕せぬ、種まけぬ… 放射能汚染、福島の農家「人災だ」
    2011年3月27日9時4分
     すでに文部科学省の調査で、原発から約40キロ離れた飯舘村の土1キロから16万3千ベクレルのセシウム137と117万ベクレルのヨウ素131が検出されている。
     県は25日、県内の全農家に、農作業の延期を要請。米や野菜、花の種まきや苗植えを通常より延期する▽土壌表面の放射性物質の拡散を防ぐため、田畑を耕さない▽出荷停止中の牛乳は堆肥(たいひ)化処理をするとともに、家畜は放牧せずに畜舎内で飼育する——ことなどを求めた。
     仮に、土壌が汚染された場合に対策はあるのか。
     金沢大・低レベル放射能実験施設の山本政儀教授(環境放射能学)によると、かつて原発事故が起きたウクライナのチェルノブイリや核実験で被曝(ひばく)したカザフスタンのセミパラチンスクでは、土壌の入れ替えが行われた。表層20〜30センチの土壌を薄くはぎ取り、その下1〜2メートルの泥を掘り出して、そこに表層部の土を埋める。そのことで放射性物質は上にある土壌で遮られ、大気中に出にくくなるという。
     雨が多い日本の場合、埋めた放射性物質が雨で流され、飲料水に影響する可能性もある。山本教授は「半減期が30年と長いセシウムは地下の粘土鉱物に付着して落ちにくいが、ストロンチウムは流れていく。汚染されていない山を崩すなどして土を完全に入れ替えるのが理想かもしれない」と指摘する。
     福島でそうしたことが必要になるかは、まだ決まったわけではない。まずは作付けが可能かどうか、土壌の入れ替えが必要かどうか、付近一帯の調査を進め、汚染状態を正確に把握する必要がある。もっとも、まだ原発自体が安定していない状況で、県農林水産部の担当者は「まずは農作業の自粛で、放射性物質の拡散を防ぎたい」と話している。(大平要、岩崎賢一、中川透)

  22. 大気中の放射線量、さらに低下 福島や関東地方
    2011年3月28日21時35分
     文部科学省によると、浪江町で最高値が出たのは、800メートル級の山々に囲まれた谷あいの同町赤宇木などの国道399号沿い。17日午後2時に毎時170マイクロシーベルトの最高値を記録した後、徐々に下がり28日午前10時50分ごろには45マイクロシーベルトとなった。ただ、近くにある集落辺りでは28日午前8時45分ごろで22.7マイクロシーベルトとなるなど観測地点によって値に差がある。
     飯舘村では、県が村役場で1時間ごとに測定。15日午後6時20分に44.7マイクロシーベルトを記録、28日午後2時には、9.09マイクロシーベルトに下がった。
     一部地域で高い放射線量が続いていることについて、原子力安全委員会は、原発の爆発で放出された放射性物質を含む雲が、観測地点の上空で雨になって落ちたためとみている。ヨウ素などの放射性物質が降り積もり、土壌から放射線を出している可能性があるという。地形も影響しているようだ。
     同委員会は「プラントの状況が落ち着けば、減り続けるだろう。ただ、原発から放射性物質は出続けていると思われるので、また雨などが降れば、線量が上がる可能性もある」と指摘している。

  23. 高放射線量、主因は15日朝の爆発 風で30キロ圏外へ
    2011年3月30日11時2分
     福島市や福島県飯舘村の大気から高いレベルの放射線量が出たのは、福島第一原発で15日朝に起きた爆発が主因とする分析結果を、福島大学の渡辺明副学長(気象学)がまとめた。ちょうど、北西へ風がふき、雨も降っていた。いずれも原発から北西へ30キロ圏外だが、突出して高かった。米海洋大気局(NOAA)などの観測データから分析した。
     渡辺さんは「今後、大きな爆発がなければ、値は下がっていく」とみている。
     福島市と飯舘村の大気中の放射線量は15日の夕方以降に跳ね上がった。福島市では15日午後6時40分に毎時24.24マイクロシーベルト、飯舘村でも午後6時20分に44.7マイクロシーベルトの最高値を記録した。
     この日の午前6時過ぎに、福島第一原発2号機と4号機で爆発と損壊があり、放射性物質が放出されていた。渡辺さんは、爆発と気象や放射線量の観測データとの関係を分析した。この結果、爆発当時、原発近くの大気が北西方向に風で運ばれ、夕方以降に福島市や飯舘村上空を通過していた。また、夕方から断続的に雨が降っており、上空に舞い上がった放射性物質が落下した可能性が高かった。
     一方、16日午前も3号機で白煙が上がり、原発周辺では高い放射線量を記録したが、この時は原発から太平洋側に大気が流れ、飯舘村などの放射線量には影響しなかった。
     福島市と飯舘村では30日、ピーク時の7分の1、6分の1に下がった。(杉本崇)

  24. 「原発30キロ圏外でも避難勧告を」 グリーンピース
    2011年3月30日19時40分
     国際環境NGOグリーンピースは30日、東京都内で会見し、福島第一原発の周辺で独自に行った放射線量の調査結果を発表した。福島県飯舘村で27日に毎時8〜10マイクロシーベルトを観測したことを例に挙げ、「原発の30キロ圏外でも、放射線量の高い場所には、国が避難勧告を行うべきだ」との見解を示した。

  25. 福島県飯舘村で避難基準値超える放射性物質 IAEA
    2011年3月31日11時40分
     国際原子力機関(IAEA)は30日、福島第一原発から約40キロ離れた福島県飯舘村で、IAEAの避難基準を上回る放射性物質が検出されたため、日本側に詳細な調査をするよう促したことを明らかにした。
     IAEAによると、日本側が3月18〜26日、福島第一原発周辺25〜58キロの9自治体の土壌の放射性物質を測定。そのうち飯舘村で計測された最高値が、IAEAが避難の条件とする数値の約2倍に達したという。
     日本政府は、福島第一原発から20キロ圏内を避難、20〜30キロ圏内を屋内退避と指示しており、飯舘村は対象外だ。ただし、IAEAは「測定は天候や場所にも左右されるため、今回の調査だけで判断できない。日本側に現状を注意深く評価するよう助言した」としている。(ウィーン=玉川透)

  26. 飯舘村で高放射線、長期間なら避難指示も 枝野長官
    2011年3月31日13時21分
     枝野幸男官房長官は31日午前の記者会見で、福島県飯舘村で長期間、高い値の放射性物質が検出され続けた場合などは避難指示を出すこともあり得るとの認識を示した。「直ちにそういった(指示を出す)ことではない性質のものだが、必要があれば対応したい」と述べた。
     飯舘村は福島第一原発から北西に約40キロ離れ、原発から20キロ圏内の避難地域に入っていない。枝野氏は同村でのモニタリングを強化する考えを示し、「土壌の放射線値が高いということは、蓄積していけば、長期的には(健康に)影響を与える可能性はある」と語った。

  27. 枝野官房長官の会見〈31日午前11時〉
    2011年3月31日13時57分
     枝野幸男官房長官の31日午前11時前からの記者会見の内容は次の通り。
     【国際原子力機関(IAEA)の土壌調査】
     ——IAEAが福島県飯舘村で放射性物質の濃度を調査した。IAEAの基準で避難が必要な数値を上回り、避難勧告を出すように日本政府に伝えたということだが、この勧告をどう受けとめ、どう対応するつもりか。
     IAEAの土壌の調査の中に、IAEAの基準の一つを超過するものがあったという報告と、その状況を踏まえて、この状況を慎重に把握するよう助言があった。当該周辺含めて、この間、大気中の放射線量についての継続的なモニタリングも行ってきているので、今回の土壌についてのIAEAのモニタリングの結果も踏まえながら、さらに精緻(せいち)なモニタリングを行っていかなければならない。
     土壌の放射線量が基準値を超えていることについては、長期間、そうした土壌の地域にいると、その蓄積で健康被害の可能性が生じるという性質のものなので、大気中の放射線量、周辺地域、継続してモニタリングを行っているので、今の時点で健康被害の可能性というよりも、こうした状況が継続する、長期にわたるという場合の可能性について、しっかりと把握をして、対処をしていかなければならないと、そういう性質のものだと認識している。
     ——勧告を受け、現時点で避難地域を拡大する考えは。
     ただちにそういったことではない性質のものだと思っているが、当然、土壌の放射線値が高いということは、長期的には影響を与える、蓄積をしていけば、可能性はあるので、さらにしっかりとモニタリングを行って、必要があれば対応してまいりたい。
     【避難指示地域外での健康被害の可能性】
     ——飯舘村は福島第一原発から約40キロ離れているが、長期間いると健康被害がありそうな場所はどの程度あるのか。
     現状では、そういった状況ではないということだ。土壌の放射線量が多くても、半減期の短い放射性ヨウ素の場合と、長いもので当分、土壌の放射線量が変わらないものとの場合とでは違ってくる。そうしたことは原子力安全委員会をはじめとして、専門家に分析してもらい、健康被害の可能性があれば、必要な措置をとらなければならないということで、慎重に分析をしてもらっている。
     これについては、できるだけ広範な地域で、一番量的にできるのが大気中の放射線量のモニタリングで、これについては周辺地域も、それから逆に20キロ圏内地域も、両面においてできるだけ広範に、詳細に行っている。さらに長期的な影響ということでの土壌の調査もできるだけ場所を増やして、しっかりと把握をして参りたいということは、この間、鋭意進めている。
     ——長期的というのはどれぐらいのスパンを指すのか。
     まさにそれぞれの放射線量の数字が出ているが、そこに含まれている放射性物質の、主に半減期の長い、短いということがある。それがその後増えているのか、新たに例えば土壌に降っている状況なのか、それともかつて降っていたものが、例えば、放射性ヨウ素であれば半減期が短いから、減っている状況なのか、そうしたことによって影響がどの程度の期間及ぶのか、長く及ぶのか、それとも短いものなのか、そういったことを含めてきちっと分析して、万が一にも、安全性の観点から必要な措置が遅れることがないように専門的な調査、分析を進めてもらっているということだ。  ——長期にわたるということだが、すでにこれまでの間でも長期にわたっているという認識はないのか。
     そのことも含めて、この間、例えば放射線量のモニタリングがなされている地域、それからこれはどの程度の確かさがあるかは別としても、スピーディーによる分析などに基づき、専門家の皆さんに長期間、そこにいることによる放射線の影響の可能性については、分析し続けてもらっている。ここまでの期間も当然考慮に入れて、様々な判断を専門家に仰いでいる状況だ。

  28. 水道水の摂取制限基準「あいまい」 自治体側に戸惑い
    2011年4月2日7時1分
     21日以来、乳児を含むすべての人の摂取制限を呼びかけていた福島県飯舘村では、29日以降に採った水が乳児の基準を下回ったため、4月1日に制限を解除したが、念のため乳児向けには摂取を控えるよう呼びかけている。
     判断を自治体に委ねていることについて厚生労働省は「住民の安全を考えると、状況をよく把握した地元の自治体が判断することが一番」と説明している。(塩原賢、上沢博之)

  29. 飯舘の放射性物質、平均値で避難基準下回る IAEA
    2011年4月2日10時19分
     福島第一原発から約40キロ離れた福島県飯舘村の土壌から国際原子力機関(IAEA)の避難基準を超える放射性ヨウ素131が検出された問題で、IAEAは1日、村内の複数地点で採取したヨウ素131の追加データを再計算した結果、平均値で避難基準を下回ったと明らかにした。
     IAEAによると、日本政府側が3月19〜29日に飯舘村の複数地点の土壌から採取した15サンプルの数値を元に、IAEAの換算式で計算。その結果、平均値は1平方メートルあたり約7メガベクレルで、IAEAの避難基準10メガベクレルを超えなかったという。
     IAEA当局者は、ウィーンでの記者会見で「人間は同じ場所にとどまらず移動するため、(異なる地点のデータの)平均値がより重要になる」と指摘。その上で、飯舘村のヨウ素131について「平均値では減少しつつある」と述べた。
     ただ、サンプルの中には依然として基準を超える高い数値もあるため、「日本側が引き続き注意深く調査を続けている」とした。
     IAEAは3月30日、飯舘村の1地点で同月下旬に検出されたヨウ素131の数値が約20メガベクレルだったと発表。「1カ所のみで計測された暫定的な評価」とした上で、日本側に追加調査を促していた。
     また、IAEAは1日、日本政府の要請を受け、原子炉の専門家2人を日本へ派遣すると発表した。4日以降、福島第一原発の現状や対応策について、原子力安全・保安院や東京電力などと協議するという。(ウィーン=玉川透)

  30. 甲状腺被曝検査、福島の子ども946人「問題なし」
    2011年4月2日20時17分
     東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、国の原子力災害現地対策本部は2日、福島県川俣町と飯舘村に住む15歳以下の946人について、甲状腺の被曝(ひばく)線量を調べた結果、「いずれも問題なかった」との見解を発表した。
     対象は3月28〜30日に調べた946人。のど付近に検出器をあてて放射線量を測ったところ、全員が、国の原子力安全委員会が定める基準値(1時間あたり0.2マイクロシーベルト)を下回った。最高でも、毎時0.07マイクロシーベルトだった。
     このほか、26、27日にいわき市で、15歳以下の137人に実施した調査でも、毎時0.2マイクロシーベルトを下回った。
     放射性ヨウ素は子どもの甲状腺にたまりやすく、がんの原因になるため、影響がないか調べている。
     調査地は、福島第一原発の30キロ圏外だが、緊急時迅速放射能影響予測(SPEEDI)の試算で、甲状腺の被曝線量が比較的高いとされていた。
     国の原子力災害現地対策本部によると、子どもの甲状腺被曝の調査では、3月25日以降、安全とされる基準が全身の健康を評価する毎時2マイクロシーベルトから、甲状腺だけを対象にした安全基準の毎時0.2マイクロシーベルトに変更になった。

  31. 枝野官房長官の記者会見〈3日午後〉
    2011年4月3日20時12分
     枝野官房長官の3日の記者会見は次の通り。  【冒頭】  「原発事故については、水のピット水の流出をはじめ、引き続き大変な心配をかけている。一方で、この原発事故による影響の長期化が避けられないという状況の中で、現在退避をしている皆さん、20〜30キロの屋内退避エリアにいる皆さんの当面の生活に対する支援については、一定の長期化が避けられない前提の中で、さらに強化、態勢整備を行うべく、現在検討を進めているところだ。同時に、様々なデータが積み重なってきているので、こうした地域の設定のあり方についても、現在、大気中の放射線量、土壌の放射線量など含めて、総合的に分析を進めている。こうした分析を踏まえて、さらに精緻(せいち)な対応ができるよう準備を進めている」
     「なお、特に放射線の影響が子供に影響を与える可能性が高いということで、この間、3回に分けて子供の甲状腺被曝(ひばく)の調査を進めてきているが、直近3回目の調査を3月28〜30日に川俣町と飯舘村で実施した。その結果、合わせて900人余りの0歳から15歳までの子供について、甲状腺被曝の調査をしたが、全員、スクリーニングレベルを超えるものは認められない、という結果になった。過去2回のものを含めて、2回目はいわき市の方で行ったが、周辺地域の子供の甲状腺の被曝調査については、1人もスクリーニングレベルを超えるものは認められないとの報告を頂いている。なお、時間がたって調査をしたのでは半減期、甲状腺が心配なのはヨウ素なので、少ない数値になるのではないかと尋ねたら、15日ごろにもし被曝していたらという想定で現在の数値を逆算して、その上で危険な水準に達している子供はいないというデータになっている、という報告を受けている」

  32. 学校や幼稚園で放射線量調査始まる 福島の1428施設
    2011年4月5日11時25分
     福島県の大半の小中学校で6日に新学期が始まるのを前に、県は5日、学校施設で放射線量を測る緊急調査を始めた。福島第一原発の事故後、県内各地で通常より高い放射線量が観測され、新学期を前に保護者から「子どもを通学させて大丈夫か」などと問い合わせが相次いでいた。
     小中学校や幼稚園、保育所、特別支援学校の計1428施設を対象に、7日まで調査する。ただし避難指示が出ている原発から半径20キロ以内の施設は除く。調査結果は順次、県のホームページなどで公開する予定という。
     福島市の福島市立第一小学校では5日午前8時45分から、マスクと手袋をつけた県職員2人が携帯型放射線測定器を使い、校庭の中心で大気と地表の放射線量を測った。
     県災害対策本部によると、県内の放射線量は5日午前9時現在、最も高い飯舘村で毎時6.36マイクロシーベルト。胃のレントゲン1回分の100分の1程度で、同本部は「現時点では学校生活を送るのに支障はない」とみている。万が一、数値が高い場合は再び調査して使用の可否を判断するという。県は4日、文部科学省に対し、安全に学校生活が送れる放射線量の基準を示してほしいとの文書を送った。(村上晃一)

  33. 原発避難地域の見直し本格検討 放射線量の新基準設定へ
    2011年4月7日1時10分
     菅政権は、福島第一原子力発電所の事故を受けて定めた避難地域の範囲を拡大する本格検討に入った。これまでは短期的に浴びる放射線量を基準に避難指示を出しているが、この地域以外でも高い放射線量が続いており、積算の放射線量をもとに新たな基準をつくることにした。
     原子力安全委員会の防災指針は、短期的に50ミリシーベルト以上の放射線を浴びる可能性がある区域を避難、10〜50ミリシーベルトの区域を屋内退避と設定。菅政権はこれに基づき、原発から半径20キロ圏内に避難を、20〜30キロ圏内に屋内退避を指示した。だが、放射能漏れが長期化していることに加え、指示地域外でも放射線量の高い地域があることから、見直しを求める声が出ていた。
     枝野幸男官房長官は6日の記者会見で「一時的に50ミリシーベルトを超えるわけではないが、じわじわと放射線量が累積している地域があり、安全性確保が大きな課題だ」とし、原子力安全委に助言を求めたことを明らかにした。  これを受けて原子力安全委は6日、避難の基準として放射線の積算量を20ミリシーベルトとするよう助言したと発表。国際放射線防護委員会(ICRP)が、緊急時は一般の人も年間20〜100ミリシーベルトの放射線を浴びる場合は対策が必要と勧告しており、これに沿ったという。助言に基づき、菅政権は避難指示地域の見直しに入るが、部分的に現在の同心円状の外に広がる可能性がある。
     放射線の積算量の測定を始めた先月23日以降、福島第一原発から約30キロ離れた浪江町の積算量は約11.63ミリシーベルト、飯舘村は約6.83ミリシーベルト。24時間屋外にいるとの仮定に基づくため、屋内にいる時間を勘案すれば実際の積算量はより低くなるという。原子力安全委の代谷誠治委員は「最も高い地域でも20ミリシーベルトを超えるのはあと数週間後」と説明。屋内退避の指示が出ている地域については「事故が終息していないため、今の時点では変更しない」と話した。

  34. 枝野官房長官の会見〈6日午後4時40分〉
    2011年4月6日22時58分
     【避難指示その3】  ——福島県飯舘村が乳幼児と保護者を、政府の避難指示とは別に独自に避難させる方針を決めた。
     「まず、先ほど答えた通り一瞬で大量の放射性物質が出るというケースではなくて、長期間にわたって放射性物質が一定程度出る、それが累積されて健康への影響の可能性を判断しないとならない。こういう事態、状況に現時点でなっている。それについての対応は、いま鋭意専門家のみなさんにも入って頂き、検討分析をしているところ。こうした専門家のみなさんのご意見も踏まえ、今のところ1日、2日で出ないとならないという状況にあるわけではない、という前提の上で今できるだけ詳細な分析をしている状況だ。ただ、当該可能性のある地域のみなさんにとっては、大変不安なことだろうという風に思うので、自治体の独自の判断として、そうした判断をされた自治体があるということは大変そうした意味では大変申し訳ない。出来るだけ早く、政府として保安院や安全委含めて専門家のみなさんの、国内の英知を結集した形で、ここまではご苦労ご不便をおかけする。ここからはこういうことで安全ですということについて、明確な姿勢、指針をだしていきたい。そうしたなかで、年齢等による線を引くのか引かないのかについては、これ専門的にいま検討して頂いている。具体的に、何らかの方向性がでているわけではない。そのこと含めて、それが必要かどうかも含めて、できるだけ早く結論をだしたいと思う」
     【原発被害補償】
     ——法に基づかない自治体独自の判断でも、政府から指示を受けている自治体と同様の補償は受けられるのか。
     「これについては当然のことながら、原発事故に起因して取らざるを得なかった措置であるならば、もちろん国の避難指示あるいは屋内退避の指示があったところは当然だが、例えば、いま屋内退避区域の方で外に避難している方もそうだし、今回の飯舘村の判断もそうだが、原発に起因してやむなく対応したことに対する損害に当然含まれる。当然の事ながら、東電による補償や政府としての支援の当然の対象になる」

  35. 妊婦と乳幼児、村外避難へ 福島・飯舘、温泉地などに
    2011年4月6日23時8分
     放射線量の積算値が高まりつつある福島県飯舘村は6日、放射線による影響が懸念される妊婦や乳幼児らを村外に避難させることを明らかにした。早ければ来週にも、福島市内の温泉地などに移動させる。
     飯舘村は、東端が福島第一原発の事故で屋内退避圏(半径30キロ)にかかるが、多くの集落は圏外だ。だが、これまでの調査で大気や土壌の放射線量が圏内の一部の場所より高いことが判明している。
     これまで村として住民に避難を促すことはなかったが、菅野典雄村長は「高い数値が何度も出て村民が不安に思っている。影響があるという妊婦と乳幼児から安全な場所に避難させたい」と述べ、方針を転換することにしたという。  村の計画では、対象は3歳以下の乳幼児約100人と妊婦約10人。避難に伴う費用は県が負担する。村は7日に区長会で計画を説明し、希望者を募るという。
     村の人口は約6100人。村によると、一部の住民は自主避難したが、その後戻った人もおり、現在は5千人ほどという。
     飯舘村の放射線量は、測定を始めた3月15日に最大で毎時44.7マイクロシーベルトを記録。その後は下がり続け、今月6日は午後2時現在で毎時6.34マイクロシーベルトだった。ただし6日までを積算すると6ミリシーベルトを超える。国の基準では、放射線量の積算が10〜50ミリシーベルトになると「屋内退避」の対象にしている。(羽賀和紀)

  36. 福島県の一部、作付け延期解除 県が独自に土壌検査
    2011年4月7日10時56分
     福島第一原発の事故を受け、福島県は6日、県内の水田や畑、果樹園といった農地の土壌を独自に調べた結果を発表した。水道水から高濃度の放射性物質が検出された飯舘村をはじめ、県北部の7市町村の一部で高い値が出た。県は県内の全農家に作付けなどの延期を要請していたが、これらの地域を除き、作付け延期の要請を同日解除した。
     県によると、3月31日から2日間かけ、県内全域で約10キロ間隔で選んだ計70カ所の農地の土壌を調査。九州地方の検査機関に送り、分析していた。
     その結果、飯舘村に加え伊達市月舘町、川俣町、二本松市、本宮市、大玉村、郡山市日和田町でも高濃度の放射性セシウムが検出されたが、その他の地域の数値は低かったという。
     土に含まれる放射性物質の基準値はなく、農林水産省が今月中旬をめどに「算定作業」を進めている。だが県は3月25日に県内全域の農家に作付けなど農作業の延期を要請しており、素早い情報提供が必要と判断。農水省が基準値を決める前に、農地への影響評価に着手していた。
     県によると、専門家の意見に基づき、高い数値が出た7市町村の地域については近く再調査をする。また、原発から半径20〜30キロ圏内で屋内退避指示が出ている浪江町、広野町、葛尾村、川内村についても順次、調査をするという。

  37. 原発30キロ圏外に高汚染地点 3カ月後も最大400倍
    2011年4月8日3時34分
     福島第一原発事故により土壌が汚染された影響で、原発から30キロ圏外の福島県飯舘村では爆発から3カ月後も、最高地点では平常時の約400倍の放射線が出続ける可能性のあることが、京都大や広島大などのチームによる現地調査で分かった。この3カ月間の放射線の積算量は、国が避難の目安として検討中の年間20ミリシーベルトを超える値だ。国などの測定でも、汚染は30キロ圏内外で確認されており、今回の調査で汚染地域が不規則に広がっている実態が改めて浮かび上がった。
     今回の調査では、土壌に含まれる8種類の放射性物質の量を分析し、物質ごとの半減期を考慮して地表の放射線量の推移を求めた。2種類の物質しか公表していない文部科学省の調査より、実態に近い推計ができる。
     京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子力工学)や広島大の遠藤暁准教授(放射線物理学)らは3月下旬に飯舘村を訪問。村内5カ所で深さ5センチの土を採取し、セシウム137などの濃度を分析した。調査地点は全て30キロ圏外で、道路沿いの集落を選んだ。
     この結果、1平方メートルあたりセシウム137が約219万〜59万ベクレルの高い濃度で確認された。1986年のチェルノブイリ原発事故の際は、セシウム137が55万5千ベクレルを超えた地域は「強制移住」の対象となった。飯舘村の最高の数値は4倍にあたる。
     再び大量の放射性物質が放出された場合は、さらに上がりかねない。
     また原発で爆発が起きた3月15日を基点に、地表1メートル地点の大気中の放射線量が3カ月後にどう変化するかを試算した。その結果、3カ月後でも毎時21〜7マイクロシーベルトの放射線が土壌から大気中に出ることがわかった。3カ月間、屋外にいたとして単純計算すると、放射線の積算量は、約95〜30ミリシーベルトに上る。
     また土壌に付着したセシウムがそのまま残ると仮定すると、1年後の積算量は約220〜70ミリシーベルトに上る可能性があった。
     国は住民への避難指示の根拠として、年間の積算量20ミリシーベルトを目安とする基準を検討している。
     半減期が30年のセシウム137も雨風などの影響で移動、流出して、1年後の数値は今回の試算値より下がる可能性はある。
     文部科学省のモニタリング調査などによると、放射能による大地への汚染は爆発時の風向きなどにより、同心円状ではなく不規則に広がっている。文科省の土壌調査によると、土1キロあたりに含まれるセシウム137の濃度は、飯舘村のほか、原発から30キロ圏内外の大熊町や浪江町などでも、面積あたりに換算すると、最高値では京大などの調査より高い値になっている。
     原子力安全委員会の緊急時迅速放射能影響予測(SPEEDI)でも、原発から放射性ヨウ素が飛散する地域は、原発から北西と南の方向へ広がっている。
     米エネルギー省も17〜19日に毎時125マイクロシーベルトを超える放射線量の大気の帯が、浪江町や飯舘村付近を通ったと推定。高いレベルの放射性物質は、まだら状に降り注いでいる可能性を示している。(岡崎明子)

  38. 宮城県で震度6強 最大の余震
    2011年4月8日1時58分
     7日午後11時32分ごろ、宮城県沖を震源とする地震があり、同県栗原市と仙台市宮城野区で震度6強を観測した。震源は宮城県・牡鹿(おしか)半島の東約40キロ、深さは約40キロ。地震の規模を示すマグニチュード(M)は7.4。3月11日にあった東日本大震災の余震で、震度6強は最大。岩手、宮城両県を中心に東北4県でけが人が多数出ている。
     【震度5強】飯舘村

  39. 汚染の度合い きめ細かな測定・選別を
    2011年4月8日9時51分
     福島第一原発事故は、被害の拡大が続く異常な状態で近く1カ月を迎える。
     1〜3号機では核燃料が溶ける炉心溶融が起きている可能性が高い。とくに2号機は、格納容器の一部が爆発で壊れ、放射能が漏れやすくなっている。炉を覆う建屋は爆撃を受けたような惨状だ。
     今はポンプで1〜3号機の炉心に注水し、かろうじて冷却を続けている。その結果、水が「たれ流し」状態になって原発周辺と海の汚染を広げている。
     冷却しなければ爆発の恐れがあり、冷却すれば汚染を広げる。このジレンマにも打つ手がない危険な状態が続く。
     一方、すでに20キロ圏内はゴーストタウンになり、その周辺も不安の中にいる。
     福島県飯舘村の中心部は原発から約40キロも離れている。放射線量値が比較的高く、避難を迫る声がある。
     菅野(かんの)典雄村長は「少しずつ住みよい村をつくってきた。ある日、放射能を含んだ風がこっちに吹いただけで、生活のすべてがガラガラと崩れそうになる。本当に心の置きどころがない」と話す。
     これが原発事故の怖さだ。遠く離れた地域を一気に危険な場所に変え、人の暮らしと時間を奪う。避難しても家をどうするのか、コミュニティーの崩壊、仕事、家畜。築いてきた日常が消えてしまう。
     危険な原発から目を離せないが、それでももっと「人」に目を向ける必要がある。
     原子炉が落ち着くまでには少なくとも数カ月かかるとされる。まず「数カ月の避難」を前提に、長期で向き合う態勢が必要だろう。避難者の生活の質を上げなければならない。人の健康は一日一日だ。
     正確な汚染を反映したきめ細かい対応が要る。そもそも汚染は風や地形に左右されてまだら状だ。同じ円の中でも程度は全く異なる。
     そして、汚染が比較的軽い地域では、「子どもを守る」を最優先し、学校は疎開なども考える。大人は原発の変化に注意しながら少し柔軟に生活する。こうした選択肢を広げて家族が少し先の計画をたてられるようにする。判断は地元の意向を尊重する。
     まずは地域を細かく分割して測定点を増やす。人手がかかる作業だが、住民が避難に対してある程度の納得感をもつには欠かせない。
     津波被災者を含め避難者を支えながら、原発事故に向き合いたい。世界中がハラハラしながら日本を見守っている。(編集委員・竹内敬二)

  40. コメ作付け禁止基準を発表 土壌汚染、近く地域設定
    2011年4月9日1時10分
     福島第一原発事故の放射能による土壌汚染問題で、枝野幸男官房長官は8日、イネの作付け禁止について、土壌中の放射性セシウム濃度が土1キログラムあたり5千ベクレルを超える水田とする基準を発表した。農林水産省は、原発の半径30キロ圏内に加え、この基準で作付けを禁じる方針。政府は近く具体的な地域を定める。
     5千ベクレルは、収穫時のコメの汚染度が安全基準を超えると推計される数値。政府の原子力対策本部長である菅直人首相が設定地域に対し、原子力災害対策特別措置法に基づき作付け禁止を指示する。原災法による作付け禁止は初めて。東京電力と政府は損害分を補償する。
     福島県は6日に県内の農地計70地点の土壌調査結果を公表。5千ベクレルを超えていた地点は水田では飯舘村内の2地点だけだった。同県は12日に追加調査の結果を公表する予定。

  41. 葉タバコの作付け、福島全県で断念 土壌汚染を懸念
    2011年4月9日15時0分
     福島県たばこ耕作組合は今年の葉タバコの作付けを見合わせる方針を決めた。福島第一原発事故の影響で主要産地の土壌汚染が懸念され、品質維持や数量確保が困難と判断したという。放射能汚染による全県的な作付け断念が明らかになるのは初めて。
     県内の葉タバコの主要産地は原発から半径30キロ前後の山間地。市町村別では田村市を筆頭に飯舘村もトップクラスだ。村では県による土壌調査の結果、政府が定めたイネの作付け制限基準を上回る放射性セシウムが検出されている。

  42. 「バイオマス原料、作付けしたい」飯舘村長、農相に提案
    2011年4月9日19時0分
     イネを作付けできない水田で、バイオマス燃料の原料となるヒマワリやナタネなどを作付けしたい——。福島第一原子力発電所から漏れた放射性物質による土壌汚染が確認された福島県飯舘村の菅野典雄村長が9日、同村を訪れた鹿野道彦農林水産相に提案した。
     政府は8日、土壌中の放射性セシウム濃度が土1キログラムあたり5千ベクレルを超える水田では、イネの作付けを禁止するという基準を発表した。近く作付け禁止地域を定めるが、飯舘村では基準を超える水田が出ており、村全域の水田が作付け禁止となる可能性がある。
     菅野村長は9日の会談で、禁止地域でバイオマス燃料の原料となる農産物を作付けして農地を維持・保全し、農家の営農意欲も支えたいと説明した。鹿野農水相は「どういう作物が(放射性物質を)吸い上げる量が少ないのか研究し、具体的な取り組みをしていきたい」と答えた。
     チェルノブイリ原発の事故では、周辺の汚染土壌にナタネを植えた実績がある。農水省内でも、作付け可能な農作物を検討すべきだとの意見が出ている。
     菅野村長は「放射能汚染の被災地として、飯舘村が世界のモデルとなる復旧・復興を果たすため、産官学一体で前例のない施策が必要」などとする提言書も提出した。国か東京電力の直轄事業として、バイオマス燃料の製造プラントを村に設けることも提案した。(木村裕明)

  43. 福島・飯舘産シイタケから基準26倍セシウム
    2011年4月11日1時18分
     厚生労働省は10日、福島県飯舘村産の原木シイタケから基準の26倍にあたる1万3千ベクレル(1キロあたり)の放射性セシウムが検出された、と発表した。伊達市、新地町のシイタケでも基準を上回った。すべて露地栽培だった。モニタリング検査の対象になった21点のシイタケは、いずれも出荷されていないという。

  44. 枝野官房長官の会見〈11日午前11時〉

     枝野幸男官房長官の11日午前の記者会見は次の通り。  ——20キロ圏外の自治体に対して、政府から「計画避難区域になる」と説明があり、これを受けて飯舘村ではすでに午前中から避難が始まっているとの情報がある。そもそも「計画避難区域」とはどういう法律に基づくのか。
     「今言った通り、ここまでのモニタリングの結果を踏まえて関係する地域のみなさんとは、今お話を始めている。今言った通り、これ地形、風向きと地形等によって影響される。そうした状況等も地元のみなさんとしっかり相談をして進めているものだ。現地の状況について、もしそうした結果として、累積による放射線の影響について何らかの対応が必要だということでお願いする場合も、まさに半年・1年ということを当該地域にいた場合ということの影響を考慮しての対応をお願いするということで相談をしているので、ぜひ当該地域に関係すると思われるみなさんも、国や自治体から具体的な指示がもし必要なら必ずあるので、それを踏まえて対応して頂ければと思う」

  45. 20キロ圏外に「計画的避難区域」 葛尾や浪江・飯舘
    2011年4月11日20時21分
     枝野幸男官房長官は11日午後の記者会見で、福島第一原発から20キロ圏外の一部地域を新たに「計画的避難区域」に指定し、1カ月程度かけて住民を域外に避難させると発表した。原発事故の影響で住民が受け続ける、累積の放射線量が高くなるのを避けるためだ。
     枝野氏は、福島第一原発北部にある福島県葛尾村、浪江町、飯舘村と、南相馬市の一部と川俣町の一部が対象になると表明した。南相馬市と川俣町については、今後、政権が対象市町村や県と調整したうえで具体的な地域を確定し、原子力災害対策特別措置法に基づいて菅直人首相が避難を指示する。枝野氏は会見で「すぐに避難行動をお願いするものではない」と述べ、落ち着いて準備をするよう呼びかけた。
     国際放射線防護委員会(ICRP)は、緊急時は一般の人も年間20〜100ミリシーベルトの放射線を浴びる場合は対策が必要と勧告。菅政権は原子力安全委員会の助言を踏まえ、事故発生から1年間の放射線積算量が20ミリシーベルトに達すると予想される地域についても、避難対象に加える必要があると判断した。
     現在は第一原発から同心円状に、半径20キロ圏に「避難指示」を出し、同20〜30キロ圏に「屋内退避指示」を出した上で自主避難を要請している。新たな対応は、同心円状ではなく、これまでに測定された放射線量や、風向きや地形の影響を考慮して、飯舘村など20キロ、30キロ圏外の市町村も含めた。
     また枝野氏は、原発から20〜30キロ圏のうち、今回計画的避難区域の対象にならない地域を、これまでの「屋内退避指示」から「緊急時避難準備区域」に切り替える方針も発表した。広野町、楢葉町、川内村、田村市の一部、南相馬市の一部が対象だ。ただし30キロ圏内でも、田村、南相馬両市の一部地域、いわき市については全体について、避難準備区域の指定から外れ、屋内退避指示も解除される見通しだ。
     避難準備区域内の住民に対しては、放射性物質が大量放出されるなどの緊急時に備えて、屋内に退避したり、圏外に避難したりできるよう常に準備しておくよう要請する。子どもや妊婦、入院患者は立ち入らないよう求め、保育所や幼稚園、小中学校、高校は休園、休校となる。自主的な避難も引き続き求める。
     枝野氏は会見で「避難指示に基づいて避難しているみなさん同様、政府の支援、補償の対象になる」と述べ、自主避難する住民らに補償する考えを示した。
         ◇
     〈計画的避難区域〉指定された地域の住民は、約1カ月かけて別の場所へ計画的に避難することになる。市町村、県、国が連携して避難計画をつくる。福島第一原発から半径20キロ圏より外側の地域で、累積放射線量が事故発生から1年間で20ミリシーベルトに達する恐れのある地域が指定される。原子力災害対策特別措置法に基づく措置。
     〈緊急時避難準備区域〉緊急の場合に屋内退避や避難ができるよう、前もって準備をしておく必要がある区域。子供や妊婦、要介護者、入院患者などは立ち入らないよう求められる。区域内の保育所、幼稚園、小中学校、高校は休園、休校となる。現在屋内退避の指示が出ている福島第一原発から20〜30キロ圏内のうち、新たに設ける計画的避難区域に含まれない地域が指定される。

  46. 枝野官房長官の会見〈11日午後4時10分〉
    2011年4月11日21時41分
     「まず『計画的避難区域』を新たに設定することとする。これは半径20キロより外側の区域のなかで、気象条件や地理的条件によって発電所から放出された放射性物質の累積が局所的に高くなっている、積算の放射線量が高くなっている地域がある。こうした地域に半年、1年と居住を続けた場合には、積算の放射線量がさらに高水準になる恐れがある」
     「そこでこうした地域を新たに『計画的避難区域』とする。その基準は、国際放射線防護委員会(ICRP)、国際原子力機関(IAEA)の緊急時被曝(ひばく)状況における放射線防護の基準値、年間20〜100ミリシーベルトという基準値を考慮して、事故発生から1年以内に積算放射線量が20ミリシーベルトに達する恐れがある、こうした地域を指定をしたいと考えている」
     「具体的には福島第一原子力発電所から20キロメートル以上離れた地域のうち葛尾村、浪江町、飯舘村、川俣町の一部、南相馬市の一部が該当する。この区域の住民のみなさんには大変なご苦労をかけるが、別の場所に計画的に避難してもらうことが求められる。計画避難は、おおむね1カ月をメドに実行されることが望ましいと考えるが、最初に言った通り、当該市町村と福島県と密接な連携をとって、できるだけ混乱などの少ないような段取り、やり方を今それぞれの自治体ごとに詰めさせて頂いているので、そうした自治体のみなさんとの調整を踏まえたご指示をお願いするので、いますぐ直ちに行動にうつる必要はないことをご理解下さい」

  47. どこが新たな避難区域に 具体的な地域は示されず
    2011年4月11日23時58分
     飯舘村は、国が示す「おおむね1カ月での避難」は難しいとの認識を国に伝えているという。菅野典雄村長は「今後の避難先も決まっていない」と困惑する。村幹部は「まずは避難区域を広く取り、時間の経過とともに狭めていくのが筋。拡大していくようでは住民の不安が広がるばかりだ」と国への不信をあらわにした。

  48. 避難区域拡大「現実的」の見方 被曝積算量の試算が根拠
    2011年4月12日5時0分
     福島第一原発事故が依然、収束しない中で、避難地域が20キロ圏外へと拡大される。長期間、被曝(ひばく)が続けば、健康影響も心配される。今後1年間の放射線量を推計して、一定の線量を超える地域は、新たに避難を迫られることになった。
     「炉がまだ不安定で、何らかのアクションが必要。20ミリシーベルトを超える地域の人には移動してもらった方が、不要な被曝を避けられると判断した」。11日に開かれた原子力安全委員会の記者会見で、本間俊充・緊急事態応急対策調査委員は話した。
     避難地域の見直しについて、専門家の間では「現実的なもの」との見方が少なくない。これまでの大気中の放射線量の実測値から、今後1年間の積算値を推定して、新たな避難区域を決める。SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)で、事故後に成人が外から浴びる放射線の積算量も試算。事故直後の同心円状の区域設定を見直す。
     「計画的避難区域」に指定されるのは、積算量が1年間で20ミリシーベルトを超えると推定される地域だ。浪江町や飯舘村などが対象だ。これらの地域では、半減期が30年と長いセシウム137が高いレベルで降り注いだ所があり、住民が長期間、地面から放射線を浴び続ける心配がある。  国際放射線防護委員会(ICRP)勧告では、緊急事態で住民が20〜100ミリシーベルトの被曝が予測される場合は対策をとるように求めている。「今回の見直しでは、ICRPなどの勧告の下限値をとった」(原子力安全委員会)
     放射線による長期的な影響では、がんが数年〜数十年後に増える危険が心配される。数十ミリシーベルトという低い放射線量による影響は不明点も多いが、20ミリシーベルトを浴びると、がんになるリスクは0.1%程度上昇するとみられる。
     浪江町の1地点では来年3月までの積算量は313.9ミリシーベルトに達すると試算された。ICRP勧告の上限値100ミリシーベルトを大きく超える。健康影響が懸念される水準だ。  また、「緊急時避難準備区域」では、新たな放射性物質の大量放出などを警戒しながら、必要な仕事などはできることになる。ただ、突然放出が起きた時に住民にどう伝え、住民はどう身を守ればいいのか、十分な説明が必要だ。
     放出時に慌てて屋外に出て避難するとかえって被曝しかねない。国の防災指針によると木造家屋では屋外よりも被曝が10%減るが、コンクリートの建物内では5分の1以下に減らせる。屋内退避できる場所を決めて表示しておけば、屋外にいる人は逃げ込める。
     長瀧重信・長崎大名誉教授は「避難によるストレスで住民の健康悪化も心配だ。避難地域にいるとどれくらい健康上の危険があるのか、きちんと説明しないと住民は納得できないだろう」と話している。

  49. 安全なの?危ないの? 30キロ圏外、振り回される住民
    2011年4月12日9時0分
     計画的避難区域とされた福島県飯舘村。ほとんどが福島第一原発の半径30キロ圏外で、避難指示や屋内退避指示(自主避難要請)ではなかった。
     「何で今ごろになって避難なのか。国の言っていることはとにかくちぐはぐ」
     従業員68人を抱える精密部品加工会社を営む林和伯さん(67)は憤る。先月中旬、従業員の強い要望で操業を再開したばかり。「命令でもない限り、国から言われても村から出るつもりはない」
     村中心部に住む農家の女性(55)も「この前、国際原子力機関(IAEA)が村は危ないと言ったのを国が打ち消したのに、今度は避難しろという。一体どっちなのか」と戸惑う。
     村は先月19日から、希望する住民を栃木県鹿沼市に避難させた。だが、和牛農家を中心に、徐々に村に戻る人が増えている。その一人、菅野千代子さん(69)は牛が心配で先月末から自宅にいる。「戻れて良かったと思ったのに今度は今生の別れだなんて。心の準備にまだ時間がかかる」
     飯舘村の西側に隣接する川俣町も一部が計画的避難区域に入った。同町山木屋で乳牛80頭を飼う牧場経営者、高橋健司さん(38)は「牛はうちの財産で生活の糧。見捨てることはできない」。原乳の出荷制限で乳は搾って捨てている。従業員1人を解雇し、牛乳やチーズなどの製造工場も休業。健司さんを手伝う母の里子さん(64)は「町からは何の連絡もない」と途方に暮れる。
     町内で民生委員を務める渡辺とくいさん(67)は「30キロ圏外は大丈夫だといっていたのに、何を信じていいのかわからない。国がしっかりした情報を発信してくれないと混乱するばかり」と話した。
     これまで避難指示、屋内退避指示、それ以外の三つの地域に分かれていた南相馬市。屋内退避区域の同市原町区に住むトラック運転手、横山久司さん(51)は、1週間前に避難先の栃木県鹿沼市から帰宅していた。ところが、自宅が計画的避難区域に。「小出しにしないで、はっきり境界線を引いてくれないと身動きがとれない」と政府に対する怒りの声を絞り出した。
     浪江町にあった勤務先は原発事故で、福島市へ移転。「『通えるか?』との会社の問いに、答えを保留している。先が見えない生活は、もう限界」と憤る。
     同じ原町区の農業原田みよこさん(63)は、震災直後から夫と子どもと一緒に福島市に避難したが、高齢の両親は「避難所に行くくらいなら、放射能の影響があっても構わない」と自宅に残った。両親の様子が気になり、2時間ほどかけて何度も帰宅した。「30キロ圏内は『絶対に入っちゃいけない』という宣言もなかった。中途半端で逆に困る」

  50. 「緊急時避難準備区域」は作付け困難 農水相が見解
    2011年4月12日15時51分
     福島第一原発事故による放射能汚染に伴うイネの作付けの可否について、鹿野道彦農林水産相は12日の記者会見で、新たに設定された「緊急時避難準備区域」について「農作業ができないわけではないが、一方で自粛を求めるということだ」と述べ、作付け許可は困難という見方を示した。
     政府は11日、原発から20キロ圏外でも放射線量が多いとされる飯舘村などを「計画的避難区域」に、また主に20〜30キロ圏を事故時に早急な避難を求める緊急時避難準備区域に設定した。
     鹿野農水相は計画的避難区域については、作付け禁止に「当然含まれるべきだ」と指摘した。作付け禁止は、30キロ圏に加え、飯舘村なども含めた区域になる見通しだ。
     福島県は12日中に追加の土壌検査の結果を公表する予定で、具体的な作付け禁止区域はそれに基づいて設定される。設定の時期について鹿野農水相は「今日結果が出てただちに結論を出していくというのは難しいが、もう(作付けが)時期的にもせっぱ詰まっているので、出来るだけ早く示したい」と述べた。

  51. 福島の土壌から微量ストロンチウム 水溶性の放射性物質
    2011年4月12日23時16分
     文部科学省は12日、福島県で採取した土壌と葉物野菜からストロンチウム89と90を検出したと発表した。福島第一原発から放出されたとみられるが、半減期が約29年のストロンチウム90はセシウム137に比べ約1千分の1以下の量だった。今回の原発事故でストロンチウムの検出は初めて。
     発表によると、土壌のサンプルは3月16、17日に浪江町で2点、飯舘村で1点が採取され、分析された。この結果、ストロンチウム90は最大で土壌1キロあたり32ベクレルだった。半減期が約50日のストロンチウム89は最大で260ベクレル。同時に分析されたセシウム137は1キロ当たり5万1千ベクレルで、ストロンチウム90の値は、この0.06%の量だった。

  52. 飯舘の水田、検出セシウム増 村全域で作付け見送り決定
    2011年4月13日2時43分
     福島県飯舘村の水田から、コメの作付け基準の6倍近い、土壌1キロあたり約2万9千ベクレルの放射性セシウムが検出された。県の土壌調査で判明し、12日に発表した。飯舘村は、6日に県が公表した1回目の調査結果で基準の3倍だった。
     今回調査したのは県内の54地点。1回目に高い数値が出て再調査になった7市町村が主な対象で、飯舘村は前回の2地点から8地点に拡大した。前回最高の1万5千ベクレルだった同村長泥は今回、2万9千ベクレルと大幅に増えた。
     前回は調べられなかった福島第一原発から半径30キロ以内の4町村も、今回は対象になった。このうち浪江町でも約2万9千ベクレルのセシウムが検出された。
     国は、土壌1キログラムあたり5千ベクレル超の場合、コメの作付けを制限する基準を示している。この基準をあてはめると飯舘村と浪江町は作付けが難しくなる。農林水産省は近く、調査がほとんどできていない原発から半径30キロ圏内や、「計画的避難区域」に指定された川俣町も含め、福島県内の稲の作付け制限地域を決める。
     県は12日、これらの地域を除いた県内全域で、稲の作付けが可能との考えを示した。畑や果樹園の土壌も現在調べており、近く結果を発表するという。
     2回の調査ともに数値が高かった飯舘村は12日、今年はすべての農作物の作付けを見送ると決めた。村全域が計画的避難区域に指定されることになり、コメ以外も含め、農作業が実質的に不可能になると判断した。

  53. 海水の放射性物質、最高値 福島第一の30キロ沖
    2011年4月12日23時40分
     福島県内では、原発から20キロ圏外で観測地点が増加された。「計画的避難区域」にすべきか判定するデータを集めるのが目的。この結果、原発から20キロ付近の浪江町川房で毎時46.0マイクロシーベルトと高い値を観測した。30キロ圏内の葛尾村では、地点によって1.8〜22.2マイクロシーベルトと開きがあった。
     3月23日〜4月11日の積算放射線量で最も高いのは、浪江町赤宇木の15.06ミリシーベルトで、飯舘村長泥の8.76ミリシーベルトが続いた。

  54. 一部の福島県産シイタケ出荷停止 16市町村の露地栽培
    2011年4月13日13時5分
     枝野幸男官房長官は13日、福島県の一部地域で生産された露地物の原木シイタケについて、当分の間、出荷停止を指示したと発表した。暫定基準値を超える放射性物質が検出されたためで、原子力災害対策特別措置法に基づく措置。
     出荷停止を指示したのは、露地栽培の原木シイタケで、産地は伊達市、相馬市、南相馬市、田村市、いわき市、新地町、浪江町、富岡町、川俣町、大熊町、楢葉町、広野町、双葉町、飯舘村、葛尾村、川内村の5市8町3村。飯舘村のシイタケについては、摂取についても当分の間、控えるよう呼びかけた。一方、施設内で栽培されたシイタケは暫定基準値を下回っており、出荷停止の対象外とした。福島県によると、県内産の生シイタケはほとんどが屋内の施設で栽培されており、露地栽培は全体の約2%という。
     いわき市、伊達市、新地町、飯舘村の4自治体では暫定基準値を超えており、県が出荷の自粛を要請している。残る自治体はこの4自治体に隣接していたり、福島第一原発に近いことなどから、出荷停止の範囲に含めた。

  55. 枝野官房長官の会見〈13日午前11時〉
    2011年4月13日16時4分
     枝野幸男官房長官の13日午前11時の記者会見の内容は次の通り。  【冒頭】  私からまず2点申し上げる。一つ目は「月例経済報告等関係閣僚会議」について。本日午前10時から、「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」を開催した。本日は、毎回行っている景気の基調判断とともに、今般の震災の経済的影響について関係省庁からの報告を議題とした。景気の基調判断については、「持ち直していたが、東日本大震災の影響によりこのところ弱い動きとなっている。また失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある」と下方に変更している。また、震災の経済的影響については、地震の直接的被害や電力供給の制約による影響、需要側のマインド悪化、雇用への影響などについて報告があった。
     もう一つ。シイタケについて原子力災害対策特別措置法第20条第3項の規定に基づく指示を出すこととした。福島県東部の5市8町3村において産出された露地栽培の原木シイタケについて、当分の間出荷を差し控えるよう指示をする。5市8町3村は、新地町、伊達市、飯舘村、相馬市、南相馬市、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、広野町、川俣町、葛尾村、田村市、川内村、いわき市の5市8町3村だ。加えて飯舘村において産出された露地栽培の原木シイタケについては、当分の間摂取を差し控えるよう指示を出した。

  56. シイタケの放射能検査「強化を」 厚労省、9都県に指示
    2011年4月13日20時34分
     福島県の一部地域で生産された原木シイタケ(露地)に出荷制限などが指示されたことを受け、厚生労働省は13日、近隣9都県に対し、原木シイタケについて、放射性物質の検査を強化するよう指示した。キノコ類は、放射性セシウムを吸収しやすいとされ、今後蓄積される可能性があるため。野菜などから放射性セシウムが検出された茨城、栃木、群馬、宮城、長野、埼玉、千葉、東京、神奈川の9都県が対象。
     福島県内で検査を実施していない自治体にも検査の強化を指示した。
     政府は13日、福島県東部の16市町村で露地栽培された原木シイタケの出荷制限を指示。うち基準の26倍のセシウムが検出された飯舘村産は摂取を当分、控えるよう呼びかけた。

  57. 計画避難対象の飯舘村で住民集会 「補償は?」不満噴出
    2011年4月14日0時11分
     長く暮らしていくと積算の放射線量が高くなることが予想されるとして、政府が「計画的避難区域」に指定した福島県飯舘村で13日、村が初の住民集会を開いた。16日まで村内の計6地区で計画的避難の内容を説明し、住民から要望を聞いて政府側に伝えるとしている。
     この日は村内2カ所で集会が開かれ、住民約700人が集まった。いずれの会場でも冒頭で菅野典雄村長は政府の方針を説明した後、「健康が大切なことに異論はないが、村には私たちの暮らしや生活、職場、仕事がある。皆さんも心配だろうと思うが、私も断腸の思い、腹立たしい思いだ」と語った。
     村の大半は福島第一原発から半径30キロ圏外で、これまでは避難指示の対象外だった。11日に発表された計画的避難区域の設定により、区域内の住民は1カ月をめどに避難を求められる。だが村幹部は「1カ月という期限が明確にあるわけではない。2、3カ月かけ住民の意見を十分に聞いたうえで村としての対応を決めたい」と話した。
     出席者からは政府の説明不足に対する不満やいらだちの声が噴出した。
     ある男性は「体のために、いち早く避難するというのはわかるが、避難が何年に及ぶかわからない。長く避難した場合、何もかもを捨てることになる」と訴えた。別の男性は「村外への避難に応じた場合、どういった金銭的補償があるのか」と尋ねた。
     村は、国に対して村内の土壌改良や農家への補償の充実、避難までの期間の延長を求めたとしつつ、「国からの情報がなく具体的な説明ができない」と繰り返した。(松川敦志、八木拓郎)

  58. 枝野官房長官の会見〈14日午前〉
    2011年4月14日14時38分
     枝野幸男官房長官の14日午前の記者会見は次の通り。
     ——計画的避難区域で住民がどうなるか分からない中で、昨日の総理の発言が出た。よけいに混乱を招いたことをどう考えるか。
     「そもそもが、総理がそういったことをおっしゃっていなかったので、結果的にそういった不安を抱かせる結果になったことについては真摯に受け止めなければいけないと思っているが、あらためて中長期的な見通しについては、原発をまず収束させ、さらに安全性を確認しながら様々なモニタリングを充実させていくことの中で出てくる話だ。ただ、まずは少なくともいったんは避難をしていただかないと、健康に問題が生じる可能性が出てくるということなので、そのことを繰り返し丁寧に説明申し上げ、なおかつ、特に近い部分のところは一度大きく出ているが、今問題になっている飯舘村などについては安全性の観点と、それから地域の要望を踏まえながら対応していくということで、丁寧に相談しながらやっていくということで、理解をお願いしていくしかない」

  59. 南相馬市、米の作付け断念 国に補償求める方針
    2011年4月14日21時31分
     福島第一原発の事故を受け、福島県南相馬市は14日、農協や生産者団体などでつくる協議会を開き、今年度は市内全域で米作りを見送ることを決めた。市は事故後、避難指示、屋内退避指示、それ以外の三つの区域に分けられたが、区域にかかわらず全市で補償を国に求める方針という。
     市内の稲作農家は約3800戸。昨年度の生産量は約2万5400トンだった。
     同県内では、全域が計画的避難区域に指定された飯舘村が12日、村内での全農作物の作付けを見送ることを確認している。村の昨年度の稲作農家は436戸で、販売額は約2億3600万円。村内では野菜、花、葉タバコの栽培も盛んで、米を含む昨年度の農作物全体の販売額は約8億3400万円に上るという。

  60. 枝野官房長官の会見〈15日午後〉
    2011年4月15日21時59分
     【自殺対策】  ——福島県飯舘村で102歳の男性が避難を苦に自殺したのではとの報道がある。震災によって自殺した人は把握しているか。また悲劇を防止するための対策は図っているか。
     「報道については承知しており、大変お気の毒であるし、原発の事故による避難が原因であるとしたら大変申し訳ない。出来るだけそうしたことが起こらないように将来の見通し含めて住民にいろいろなことを説明していく、そして十分な対応をしていくということに努めていくと同時に、被災者に対してはメンタルケアの面についても初期のうちは直接的に命を救うということが大部分だったが、関係機関の協力を得て、メンタルケアも含めて順次強化が進んでいる。事柄の性質上、全体像を把握するということは困難だが、厚労省や自殺対策チームがあるので、状況把握するとともに、そうしたことを防ぐ努力を最大限進めたい」

  61. 福島の原乳、出荷停止を解除 25市町村対象
    2011年4月16日19時53分
     菅内閣は16日、食品衛生法の暫定基準を超える放射性物質が検出され、出荷停止を指示していた福島県内の25市町村の原乳(搾ったままの牛の乳)について指示を解除した。
     解除されたのは、福島市、二本松市、郡山市、須賀川市、白河市、矢吹町、いわき市など。出荷停止となった3月21日以降、4月12日までの検査で3回連続して基準を下回った。
     福島県内の原乳は8日に会津地域で出荷停止の指示が解除された。飯舘村や川俣町、田村市東部など12市町村で依然、出荷停止が続いている。

  62. 枝野官房長官、17日に福島訪問 政権方針に理解求める
    2011年4月16日20時48分
     枝野幸男官房長官は17日、福島県を訪れる。福島第一原発周辺での行方不明者の捜索現場を視察するとともに、放射能汚染で新たに避難地域に指定する予定の周辺自治体に菅政権の方針への理解を直接求める。
     枝野氏は避難指示地域となっている原発から20キロ圏内を視察するほか、計画的避難区域に指定される見通しの南相馬市、飯舘村、川俣町などを訪問。佐藤雄平知事とも会談する。
     菅政権は枝野氏の訪問に先立って16日に福山哲郎官房副長官を飯舘村と川俣町に派遣。避難の具体的方法や開始時期が定まっていないことへの批判に対し「できるだけ早く決めて告知したい」と説明した。

  63. 「おれの農業は」「牛どうなる」途方に暮れる飯舘村民
    2011年4月17日5時12分
     本当にムラに戻れる日は来るのか——。向こう1カ月をめどに村外へ避難するよう政府が求めている福島県飯舘(いいたて)村。静かな暮らしを営んできた村人たちは、原発事故という突如降りかかった厄災に怒り、不安を抱え、途方に暮れている。
     16日午後、福山哲郎官房副長官ら政府関係者と菅野典雄村長、村民の代表らが村内で会合を持った。
     「村民を置き去りにして話が進んでいる」「避難というのは、この地に後で戻ってくるということだ。それを忘れないでくれ」。切々と訴える村人たち。避難を前に、いつ避難指示が解除されるかに関心が集まったが、福山氏は「原発の安定が保たれることが前提」と述べるにとどまった。
     「計画的避難区域」という耳慣れない言葉が村民に突きつけられたのは、地震から丸1カ月たった11日。福島第一原発の事故後、村では県内でも際だって高い放射線量が観測されてきた。長く暮らすと健康に影響があるとして政府は全村民の避難を求めた。
     阿武隈高原に開けた村は山林が75%を占め、約1700世帯、6100人が暮らす。「飯舘牛」で知られる畜産と農業が柱だ。
     計画避難が持ち上がってから村は連日、住民集会を開いている。13日夜、小学校の体育館は500人を超える人であふれかえった。役場の男性職員がつぶやく。「祭りでも、こんなに人が集まったことねえな」
     「質問のある方はマイクの方へ」。司会者の呼びかけに老若男女が列をなす。
     「高齢の母を連れて避難するのは無理だ」「仕事を失ったら、国や東電はどこまで補償するんだ」——。不満や疑問の声が次々とあがるが、政府から十分な情報が得られない村側は明確には答えられない。
     「ふざけんじゃねえぞ!」。お年寄りが叫ぶと、一斉に拍手がわいた。
     「農家廃業、失業中です」。マイクを握って訴えた赤石沢忠則さん(50)を後日訪ねた。
     自宅を囲む杉林には肉厚のシイタケがあちこちに生えている。「収穫もできやしない」。赤石沢さんは無念そうに足元を蹴った。
     トルコキキョウなどの花やコメ、シイタケを中心とする専業農家。20年前から一棟一棟建て増したビニールハウスは13棟になり、年に1400万円前後の生産高がある。3人の子を育て上げ、7月に長男(27)の結婚式を控え、さあこれからと意気込んだ矢先の「暗転」だった。
     有機栽培にこだわり改良を重ねた自慢の土も、収穫間近の葉物野菜もシイタケも、ダメだろう。
     地元に残っても仕事はない。だが避難が長引けば、手塩にかけた田んぼもハウスも何もかも捨てることになりかねない。
     「こんなことでおれの農業が終わる? そんなことがあっていいのか?」
     畜産関係者が注目する子牛の競りが今月中旬にあった。佐藤宣征(のぶゆき)さん(69)は2頭を出品。風評被害を心配したが、ともに相場通りの値で競り落とされた。
     「安全だとも不安だとも特に意識したことはない」。海からの風がイネに与える影響を心配したことはあっても、約40キロ離れた原発は常に遠い存在だった。
     その風に乗って放射性物質は村にやってきた。原発の恩恵など何も受けてこなかった、この村に。
     福山氏は16日の会合で、村外に牛を移動させる案に触れた。佐藤さんはそうした計画を「ばかなことを」と思うだけだ。
     目の前の水田でイネを育て、順繰りに刈り取っては乾燥させて母牛に食べさせる。そうしてコストを抑え経営を保ってきた。「他に移したらどれだけかかるか。この施設を全部捨てろっていうのか。いきなり他に移された牛が順調に育つかって。機械じゃないんだ。牛飼いの実情を知らない連中の発想だ」
     「6月えいこ、ふく 10月やすこ、なおみ……」。壁の黒板に、出産を控えた母牛の名前がチョークで書いてあった。「そのころ、こいつらどこにいんのかな」。佐藤さんがぼそりつぶやく。
     「おれもこいつらも、だれも何も悪いことしてねえのにな」(松川敦志)

  64. 福島市の露地物シイタケ出荷停止 基準の1.8倍検出
    2011年4月18日19時32分
     菅内閣は18日、福島市で生産された露地物の原木シイタケについて、原子力災害対策特別措置法に基づき出荷停止を指示した。14日の検査で国の暫定基準の1.8倍に相当する1キロあたり880ベクレルの放射性セシウムが検出されていた。出荷前で市場には出回っていないという。
     福島県産の露地物の原木シイタケは、13日に県東部の16市町村に出荷停止を指示。飯舘村のシイタケは食べることも当分の間、控えるよう呼びかけている。

  65. 計画的避難区域、牛も集団避難へ 農水省、全国に打診
    2011年4月19日15時32分
     農林水産省は19日、政府が近く指定する予定の「計画的避難区域」内で飼育されている牛を区域外に移す方針を固めた。福島県が同区域内の牛を移したいとの意向を示しているため、県と協力して近く移送を始める考えだ。
     農水省によると、計画的避難区域の対象になる予定の福島県葛尾村、浪江町、飯舘村などには約2万頭の肉用牛や乳用牛がいるとみられる。福島県内ではこれらの牛をすべて受け入れきれないとみて、全国の都道府県に受け入れられるかどうかを打診し始めた。これまでに、栃木県が日光市と塩谷町にある計3カ所の県営牧場で、肉牛と子牛最大150頭を引き取る意向を示している。

  66. 校舎移ってもがんばろう 福島・飯舘中の黒板にエール
    2011年4月21日11時22分
     福島第一原発事故の影響で、「計画的避難区域」に近く指定される見通しの福島県飯舘村の村立飯舘中学校で20日、始業式があった。旧1年2組の教室では、先生が黒板に「がんばろう飯舘!がんばろう新2年生!!」などとエールを書き残していた。生徒らは今後、隣の川俣町の高校で授業を受け、この校舎には当分戻らない。

  67. 原発20キロ圏外、計画避難は4町村 5月末までに完了
    2011年4月22日3時1分
     福島第一原発から半径20キロ圏外に対する菅政権の避難計画の全容が明らかになった。福島県の4町村を「計画的避難区域」に指定し、自治体と連携しながら5月末までに住民を避難させる。対象住民が多い2町村には現地政府対策室を置き、避難を支援する。
     枝野幸男官房長官が22日に正式発表する。計画的避難区域に指定されるのは、福島県飯舘村の全域と川俣町の一部(山木屋地区)のほか、葛尾村と浪江町の20キロ圏内を除く地域。放射線のモニタリング結果などに基づき、事故発生から1年間の累積放射線量が20ミリシーベルトに達する恐れがある地域を目安としている。避難の完了時期は「約1カ月後の5月末をめど」とした。
     原子力災害対策特別措置法に基づき、菅直人首相が22日中に告示する方向だ。告示日から5月末までが避難期間となる。
     ただ、4町村のうち川俣町全域と飯舘村の大半は30キロ圏外にあり、これまで20〜30キロ圏に出されていた自主避難要請や屋内退避指示にかかっていなかった。このため政権が事前に概要を地元に伝えた際、「対象が広すぎる」(古川道郎・川俣町長)、「避難には2、3カ月かかる」(菅野典雄・飯舘村長)などの不満が出ていた。
     こうした状況をふまえ、2町村にそれぞれ現地政府対策室を置くことにした。総務、厚生労働、農林水産、経済産業各省などから職員を現地に派遣して常駐させる。地元の実情を踏まえて避難計画をつくり、避難先の確保や雇用対策、医療・介護などの支援策を講じる。また、避難にかかる費用を把握し、東京電力による賠償費用の試算にも反映させる方向だ。
     一方、20〜30キロ圏内などで計画的避難区域から外れる地域は大部分を「緊急時避難準備区域」に指定する。対象となるのは広野町の全域と、南相馬市、田村市の一部、楢葉町、川内村の20キロ圏内をのぞく全域。原発事故の状況はまだ安定しておらず、放射性物質の大量放出などの緊急事態に備え、屋内退避や圏外避難などを準備しておくよう求める。
     枝野官房長官は11日の記者会見では、南相馬市の一部も計画的避難区域の対象に含めていた。ただ、避難対象者が多く、避難先の確保もめどがつかない状況から今回の計画では緊急時避難準備区域と位置づけた。  なお、菅政権は計画の実施後も、放射性物質のモニタリング結果などに変化があれば両区域の範囲を見直す方向だ。

  68. 警戒区域、イネの作付け禁止 計画的避難・準備区域も
    2011年4月22日3時3分
     菅政権は、福島第一原発から半径20キロ圏内の「警戒区域」と、20キロ圏外の「計画的避難区域」、「緊急時避難準備区域」で、イネの作付けを禁止する方針を固めた。原子力災害対策特別措置法に基づき、菅直人首相が22日に指示する。
     政府は8日、土壌中の放射性セシウム濃度が土1キログラムあたり5千ベクレルを超える水田を作付け禁止とする基準を発表。農林水産省は当初、屋内退避などの指示が出ていた30キロ圏内に加えて、土壌調査でこの基準を超えた地域での作付けを禁じる方針を示していた。
     その後、政府が計画的避難区域や緊急時避難準備区域を新たに設定する方針を示したことを踏まえ、具体的な地域について福島県と協議を続けてきた。計画的避難区域に指定される予定の飯舘村はすでに、今年はすべての農作物の作付けをしない方針を決めている。

  69. 計画的避難、3千世帯の1万人対象 5市町村で実施
    2011年4月22日14時18分
     枝野幸男官房長官は22日午前の記者会見で、福島第一原発から半径20キロ圏外の避難計画を発表した。震災発生から1年間の累積放射線量が20ミリシーベルトを超えそうな福島県の5市町村にある地域を「計画的避難区域」に指定し、5月末までに住民を避難させる。約3千世帯の計約1万人が対象となる。
     対象地域は、飯舘村の全域(対象住民約1700世帯、約6200人)と川俣町の一部(同約300世帯、約1200人)のほか、20キロ圏内をのぞく浪江町(同約500世帯、約1500人)と葛尾村(村人口約500世帯、約1600人)の全域。さらに21日まで対象外の方向で調整していた南相馬市は飯舘村と浪江町に隣接する森林地区(対象住民7世帯、10人)だけ含めることにした。
     ほとんどの区域住民が新たな計画避難を迫られる飯舘村と川俣町には現地政府対策室を設置。総務、厚生労働、農林水産、経済産業の各省から計8人を派遣して常駐させる。
     一方で、20〜30キロ圏内などで計画的避難区域から外れる地域の大部分を「緊急時避難準備区域」に指定した。広野町の全域と、南相馬市、田村市の一部、楢葉町、川内村の20キロ圏内をのぞく全域で、約2万4千世帯の6万7千人近くが対象になるとみられる。政権は放射性物質の大量放出などに備え、圏外避難などを準備しておくよう求めた。

  70. コメ作付け禁止を発表 福島県の水田の8分の1
    2011年4月22日16時8分
     福島第一原発から半径20キロの警戒区域に加え、22日に発表された計画的避難区域、緊急時避難準備区域でも原子力災害対策特別措置法に基づき、今季のイネの作付けが禁じられた。
     3区域には水田が約1万ヘクタールあり、福島県全体の水田の8分の1に当たる。コメ農家は約7千戸あり、県全体の1割。枝野幸男官房長官は「適切な補償が行われるよう政府として万全を期す」と述べた。
     農林水産省は作付けを禁じる基準について、「土壌中の放射性セシウム濃度が土1キログラム当たり5千ベクレルを超える水田」と設定。県内の水田113地点の土壌の検査を実施し、飯舘村と浪江町内の計10地点が該当した。

  71. 枝野官房長官の会見〈22日午前〉
    2011年4月22日13時4分
     枝野幸男官房長官の22日午前の記者会見全文は次の通り。  【計画的避難区域、緊急時避難準備区域】
     「何点か発表、報告する。まず計画的避難区域及び緊急時避難準備区域の設定について、原子力災害対策本部長である総理から福島県知事及び関係市町村長に対し、指示が出されたので、公表をする。ご承知の通り、東京電力福島第一原子力発電所から20キロメートル以遠、20キロメートルより遠い周辺地域においては、気象や地理的条件などにより、発電所からの放射性物質が累積し、積算線量が高くなっている地域が特徴的に出ている。国際原子力機関(IAEA)などの国際機関の緊急時被曝(ひばく)状況における放射線防護の基準値年間20〜100ミリシーベルトとされているが、こうしたことを考慮すると、これらの地域に居住し続けた場合、積算線量がさらに高水準となり、事故発生から1年の間に積算線量が20ミリシーベルトに達するおそれがあるため、このような地域を本日、計画的避難区域とした。地域住民の方々はこの間も大変なご苦労をおかけしているところだが、さらに大きなご苦労をかけることになり大変申し訳ないが、健康への影響を考え、別の場所に計画的に避難して頂くことをお願い申し上げる。これら計画的避難区域に該当する地域は、東京電力福島原子力発電所から20キロメートル以上離れた地域のうち、葛尾村の全域、浪江町の全域、飯舘村の全域、そして川俣町の一部地域、南相馬市の一部地域が該当する。この計画的避難については避難にかかる具体的な手順、実施手順を当該市町村、県、および国が密接に連携しながら調整し、約1カ月後をメドとして実施する」
     「また、発電所から30キロより遠い地域で新たに計画的避難区域に指定され、その区域にほとんどの住民が現時点で住んでいる飯舘村及び川俣町の2カ所について、現地政府対策室を立ち上げ、総務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省の職員からなる管理職級を含む両町村で8人を常駐させる。これらの職員は今朝現地に向けて出発している。この現地政府対策室において、地元町村と連携をとりながら、きめ細かな避難への対応、相談、生活支援等を行っていく。本件についてはこの後、原子力安全保安院で詳細なレクチャーを予定している。詳細についてのおたずねはそちらのほうにお願いする」
     【避難区域の設定】
     ——計画的避難区域だが、南相馬市は計画的避難区域と緊急時避難準備区域両方入っているが、どこがどうなっているのか。
     「詳細は保安院から報告するが、南相馬市のうち飯舘村や浪江町に近いエリアのある部分については計画的避難区域になる。それ以外の20〜30キロの区域については緊急時避難準備区域になる」

  72. 積算放射線量の推定マップ公表へ モニタリング強化
    2011年4月22日21時22分
     実際にモニタリング結果から、浪江町や飯舘村など原発から30キロ以上離れている地域でも、局所的に放射線量や土壌の汚染度、降下物の数値が高いことが確認された。
     計画的避難区域の設定では、放射線量の実測値をもとに、今後1年間の積算線量を試算。それまでは同心円状に20キロ圏内に一律設定していた避難区域を、年間積算量が20ミリシーベルトを超えると推定される地域にまで拡大した。
     九州大学アイソトープ総合センターの百島則幸教授(環境放射能)は「モニタリングの結果は、測り方や場所、天候により数値は異なる。数字に一喜一憂せず、変動幅の推移や傾向を見守ることが大切だ」と話している。

  73. 福島・浪江町の放射線量、積算20ミリシーベルト超す
    2011年4月23日13時44分
     文部科学省は23日、福島第一原発から北西に約30キロの福島県浪江町内で、3月23日から4月22日までの放射線量の積算が20ミリシーベルトを超えたと発表した。同町の赤宇木で20.27ミリシーベルトを測定した。同じく北西に約30キロ離れた飯舘村の長泥では22日現在、積算は11.65ミリシーベルト。
     菅内閣は計画的避難区域設定の基準として、年間被曝(ひばく)線量(積算放射線量)を20ミリシーベルトとしている。

  74. 枝野官房長官の会見〈25日午後4時〉
    2011年4月25日18時10分
     ——福島県飯舘村は、官房長官も防護服などを全く身につけずに何時間も滞在していたが、20キロ圏内に比べると短時間なら健康被害がないと思うが、住民からすればちょくちょく家に帰りたい衝動にかられると思うが、そういうことにどう対応するのか。
     20キロ圏内の一時立ち入りのような態勢とかいうことは必要ないと思うが、同じ計画的避難区域の中でも線量の違いなどがある。まさに1日8時間外にいるという前提で20ミリシーベルトを超えないと、年間で、という線で今回設定しているので、あまり頻繁に入れば線量が高くなる可能性がある地域については、その基準を超える可能性は出てくる。お気持ちは非常によくわかるが、様々な安全の観点から、できるだけきめ細かく対応するような努力を今後もしていきたいと思っている。まずは、基本的な原則のところは理解頂きたい。

  75. 枝野官房長官の記者会見〈26日午後4時〉
    2011年4月26日18時25分
     【計画的避難】
     ——計画的避難区域にからんで今日、福山官房副長官と飯舘村の村長らが面会し、福山氏から具体的な避難先として福島県外を提案され、それに対して村長らが再考を求めたが、今の避難先の調整状況はどうなっているのか。
     「これについては、正に個々の住民の皆さん世帯ごとにいろいろ抱えている仕事とかお子さんの学校とか、いろんな事情を元にいろんな要望がある。そのことの中で、できるだけ早く避難をして頂くことと、なおかつできるだけ要望に沿った形での避難先を確保することの中の調整努力をしている。今日も町長さん村長さんから、福山副長官が具体的ないろんな要望も聞いているので、そうしたことに出来るだけ応えられるよう、努力と調整をさらに続けながら、できるところから避難して頂くということだ」
     ——向こう1か月以内の避難は可能なのか。
     「避難ということで、それぞれの住民の皆さんの要望と無関係に避難して頂く場所を確保するということならば、決して難しいことではないが、それぞれの避難をお願いする皆さんの事情、状況にできるだけ、100点ではないにしても、可能な限り最大限お応えをする中での避難をして頂こうということで、様々な努力と調整を町や村、県にもお願いをし、国としてもその努力をいま進めている」
     【計画的避難】
     ——川俣町長、飯舘村長との面会の中で、政府側から避難後の住民パトロールの提案があったということだが、どういうものか?
     「一つの考え方で、関係機関、特に県などとも十分に詰めた上で決めていかなければならないと思っているので、具体的にはそういったことがもし詰められて、現実に進む状況の時にまた何らかの形で報告したいと思っている。ただ、一般論として、今回の計画的避難区域から避難を頂く皆さんについても、できるだけ元の住まいの近くの所で生活をしたい、また、仕事も続けたいと。ただ、なかなか仕事を継続できない方も少なからずいらっしゃるということの中で、様々な形で何らかの形で雇用につながるようなことの配慮ができないだろうかという問題意識は持っている。一方で、避難をして頂いた後の防犯等についても、しっかりと警察中心に対応していかなければならないと思っているが、必ずしもすべてを警察にお願いしなくてもできる部分もあるということを考えている。そうしたことの中の一つのアイデアだが、まだ具体的に煮詰まって確定をしている状況ではない」

  76. 福島県内の放射線量、詳細な汚染マップ作成 文科省
    2011年4月27日1時29分
     福島第一原発事故を受けて、文部科学省は26日、2012年3月までの福島県内の積算線量を推定した汚染マップを公表した。原発から北西方向の地域で避難区域の目安とする年間被曝(ひばく)量が20ミリシーベルトを超えている。今後、月に2回更新して、避難区域の設定などに活用していく。
     事故当日3月12日から4月21日まで、文科省や福島県などが計測器を載せた車などで測った約2100地点の放射線量をもとに、12年3月11日まで1年間の積算線量を推測した。木造の屋内で16時間過ごすと仮定して推計した。4月11日に公表後、今回は2度目だが、20キロ圏内を示したのは初めて。
     計画的避難区域に指定された地域内の14地点のうち、北西約24キロの浪江町赤宇木で235.4ミリシーベルトと最高値を示した。一方で、避難区域内でも飯舘村二枚橋は10ミリシーベルトとばらつきがあった。11日の公表時より、多くの地点で年間の推定値が低下したことから、20ミリシーベルトを超える範囲は少し狭まったという。

  77. 原発避難、どこへ 飯舘の高校、決まらぬ移転先
    2011年4月29日2時52分
     福島第一原発からの避難区域で唯一、行き先が決まっていない県立高校が移設先を巡って揺れている。計画的避難区域になった飯舘村にある福島県立相馬農業高校飯舘校。移設は避けられないが、村には今も転居先が決まらない多くの生徒が残る。最適な場所を求めて県教委は頭を悩ませる。
     同校は24日、保護者会を開き、どこに学校を移すのがいいか意見を聴いた。候補に挙げたのは、東北線の駅に近い福島市内の高校や、寮のある県中部の高校など。生徒や家族が県内のどこに避難しても比較的通いやすいからとの理由だ。
     会場から質問や要望が次々に出た。「緊急時などを考えると親元から通わせたい」「経済的な負担は」。同校によると、「村役場や学校の行き先が決まらないと、住民は引っ越し先を決められない。行き先は学校側で決めてほしい」との意見も寄せられたという。
     同校は1949年開校。元々あった農業科や家政科は廃止され、普通科の中に進学、福祉、農業を意識した3コースを設けた。生徒計81人の8割が村の子で、今も多くが村内に残る。
     震災後、学校は原発事故に振り回されてきた。3月15日に原発から20〜30キロ圏内は屋内退避区域に指定されたが、学校は圏外。そこで一度は4月21日再開と決めたが、4月11日に村全体が計画的避難区域となることが明らかになり、断念。再開どころか避難せざるを得なくなった。
     県教委は、避難区域内の高校は他校に間借りする「サテライト」方式で学校を再開する方法を採っている。相馬農飯舘も同じ方式で隣の川俣町内で再開することを検討した。しかし、町内の学校施設には余裕がなく、適当な間借り先は今も見つからない。離れた地域にも選択肢を広げて検討を続けている。
     原発30キロ圏にある県立8高校は3月15日までに「避難指示」や「屋内退避」とされて以降、移転に向けて動いたため、どこも5月9日以降に再開できる見通しが立っている。このままだと相馬農飯舘は1校だけ再開が遅くなりかねない。
     生徒は学校再開を待ち望む。2年の女子生徒(16)は「こうしている間にもどんどん授業が遅れていく。友達にも会いたいし、早く学校に行きたい」。県教委は「役場の移設先の行方を見つつ、保護者の意見も踏まえてなるべく早くとは思っている。4月中にめどを立てたい思いもある。ただ、他校のように5月上旬に再開するのは難しいかもしれない」としている。(川見能人)

  78. 計画的避難までの生活「健康問題ない」 保安院発表
    2011年4月29日19時39分
     経済産業省原子力安全・保安院は28日夜、東京電力福島第一原子力発電所から半径20キロ圏外で、5月末までに住民を避難させる方針の「計画的避難区域」について、「避難するまでの間、区域内で1カ月程度の生活や、避難にかかわる作業をしても、健康への問題はない」との資料をまとめ、発表した。
     計画的避難区域の発表は22日。該当する住民からは避難までの生活を心配する声が上がっていた。1週間近く遅れての発表に、保安院は「もっと早く出すべきだった。住民の方々に申し訳ない」としている。
     計画的避難区域は、20キロ圏外で1年間の累積放射線量が20ミリシーベルトに達する恐れがある地域として、政府が福島県飯舘村の全域や川俣町の一部など5市町村を指定した。5月末までに住民を避難させる方針は示したが、それまでの間の健康影響や備え方などの詳しい情報提供はなかった。
     保安院は「マスクをしたり長袖を着たりすることで被曝(ひばく)量をさらに下げられる」と説明、住民に理解を求めている。

  79. 計画的避難 福島・飯舘村長「連休中にも始めたい」
    2011年4月29日20時46分
     東京電力福島第一原発の事故で「計画的避難区域」に指定された福島県飯舘村は29日、村内20カ所で説明会を開いた。5月末までの全村避難を求められており、乳幼児や妊婦のいる家庭から優先して避難する考えを明らかにした。菅野典雄村長は取材に対し、「早ければ連休中にも避難を始めたい」と話した。
     村側は説明会で、(1)乳幼児や妊婦のいる家庭(2)子どものいる家庭(3)放射線量の高い3地域——を優先して避難先の希望を受け入れたいと説明。「物件と希望が合致すれば連休中にも避難を始め、妊婦や乳幼児のいる家庭は5月下旬までの避難完了を目指したい」としている。
     村はまた、避難先のホテルや旅館、公的施設を二本松市や福島市に計1600人分、当面定住できるアパートを約1千人分確保したとして施設名や地域名の一部を例示。滞在先の希望調査票の受理も始めた。
     一方、確保できた施設の収容人員は村の人口約6千人の半数ほどにとどまる。集落がまとまって入居することができる仮設住宅も確保時期などは未定だ。
     東電は原発事故の収束に6〜9カ月かかると説明している。住民への説明にあたった門馬伸市副村長は「1カ月以内に全村が避難するのは無理。2〜3カ月はかかる」と述べた。帰村については取材に「1〜2年で帰ることができればいい方だ」と答え、長期化する見通しを示した。
     酪農家の志賀正次さん(48)は「収入がなくなるのにどうすればいいのか、わからない。親は先に避難させるが、私は賠償問題がまとまるまで村を出る気はありません」と話した。
     村はこの日、避難準備のため、1人あたり3万円の見舞金給付も始めた。総額2億円の財源は全国からの義援金や村の基金で賄う。(岡本峰子)

  80. 「役員報酬、補償に回せ」 東電副社長に憤る福島住民
    2011年5月1日1時11分
     東京電力福島第一原発の事故で「計画的避難区域」に指定され、5月末までの避難を迫られている福島県川俣町の山木屋地区と飯舘村を30日、東電の皷紀男(つづみ・のりお)副社長らが謝罪に訪れた。賠償などに関する説明は具体性を欠き、住民から憤りの声が続いた。
     両会場で住民計約1500人が出席。山木屋地区の会場で、皷副社長は「心より深くおわび申し上げます」と謝罪した。
     住民からは、農業や畜産業への具体的な賠償などの質問が相次いだ。だが東電側は、原子力損害賠償紛争審査会の1次指針が出たばかりだとして「まだ説明できる材料がない」との回答に終始。「役員報酬を補償に回せ。いくらもらっているのか答えろ」という厳しい声に、皷副社長は「(報酬の)額はご勘弁いただきたい」と繰り返した。
     山木屋地区の農業、大内満里さん(45)は「東電は準備してきた回答を述べただけ。国が決めないと何もできないのでは、何の役にも立たない」と憤った。
     飯舘村で皷副社長は土下座したが、住民の一人は「東北電力管内の私たちが、なぜこんな目に遭うのか」と怒りをあらわにした。(宮山大樹、岡本峰子)